私の株式投資における考え方

前提として「自己流」なんて言わずに、先人たちの知識と経験の上を活かしなさい、という考え方は「それはそう」です。 が、私が私なりに自分を納得させる投資についての考え方をここではまとめておきます。
自分の経験に基づくものであり推奨するものではありません。自分がこういう考え方の元で「今は」やってるよ、こういう経験を得たよということをまとめています。
欲しい物があるときは投資しない
投資で得たいものはお金ですが、得たお金で何がしたいかって、欲しい物や経験、あるいは安心を手に入れるかです。 もちろん応援するモチベーションで買うこともありますけれどね。
だもので今欲しい物があるなら、それを押してまで投資することはないと思うんですよ。本末転倒なので。下がったらがっかりしますし。
「余剰資金で投資しなさい」の考え方に等しいと思います。
理屈のない買い方はしない
何事においてもそうですが、理屈や仮説が立てられない買い方はしないようにします。
「こういう流れがあるから、きっとこの企業は上がるはずだ」という目的で買ったとして、 実態として上がらなかったら、なんで上がらなかったんだろう、と振り返る必要があります。 次に同じような失敗をしないためです。自分が見えてなかった情報があるんです、きっと。
あるいはもっと簡単に、応援を目的として購入するでもいいと思うのです。 下がったときに利益のためではなく応援のためと自分を一定程度納得させられるからです。
一定程度と書いたのは、それでもやっぱり下がってしまったら、それをストレスに感じるのは避けられないからです。 でもこれに「応援したい」という理由がなければ、もっとストレスになっていたと思います。
そしてなんだかんだ言いつつもプロでもない限りは個別株にはギャンブルの要素を多分に含んでいると思います。
繰り返しになりますが、この方法で損益が出ても納得ができる、これであれば収益が出るだろう、 という自分なりのスタイルを確立することが、利益損益の動きを見ても平静でいるために、精神的に、重要であると考えています。
少額でもいいから早めに投資を始める
これは過去の私に伝えたいことですが、少額でもいいから早期に投資を始めるべきでした。
理由は2つ、1つはもちろんですが長期視点での投資は開始が早ければ早いほど利益が大きくなるからです。 アインシュタインの「複利は人類最大の発明」とは言ったもので、あるいは曽呂利新左衛門の米でしょうかね。 出た利益をさらに投じていくようにすれば、少額であっても一定程度大きくなります。
まぁとは言え、本当に少額であっては現実的な対した利益にはなりません。
1番重要なことは早期に経験を得ることですね。自分で主体的に投資をしなければ、 事業成績とか新製品とかetcの情報を具体的に追いかけることはなかったと思います。
今でなお熱心に追いかけているというほどでもない自覚はありますが、 少なくても自分が投資した先の情報は追いかけていますし、自分の保有資産の全体の増減を見て、 何が起きてどうなっているのか、どうすればよいのか、という自分なりの論を立てるようになりました。
この論がね、もっと早く持てていたらと思います。少額の投資で十分な利益は得られなくとも、十分な経験は得られることですから。 小額から始めれば、比較的大きな投資をするときに、大きな失敗もし難いでしょう。
これは専門家にでもならない限りはいつまでたっても同じですね。投資は少額から。
サンクコスト・コンコルド効果に注意
私の初めての失敗がコレでしたね。投資は本質的にはギャンブルとは異なりますが、同じ性質は確かに持っていると思います。 これまでギャンブルなんてしたことはろくにありませんでしたが(初仕事で言ったSGのカジノくらいか)、見事にサンクコストにハマりましたね。
サンクコスト・コンコルド効果とは、投資や事業の継続が損失の拡大につながると分かっていても、 それまでに費やしたコストを惜しんで投資を継続してしまう心理現象を指します。コンコルドは昔あった高速旅客機のことで、この現象の代名詞となる事業となってしまいました。
実際のところ、私が失敗した投資対象には競合する企業が存在せず、しばらくは十分すぎる利益が出ていました、それこそ2倍を超える形で。 ところが世界情勢の変化とともに急速に降下をはじめ、執筆時現在も回復していないです。※ここでの世界情勢とはコロナウイルスです。
で、下がったときに私が何をしたかって、下がったならラッキー、また上がるだろうと思って「単に」買い増ししたんですよね。 過去に上がっていた経験がその気持ちを増幅させていました。経験が浅かったです。下がった要因の分析が甘かった。というよりしなかった。これは明確な反省点です。
明確に競合する企業は、執筆時現在も存在していないと思うんですが、まだ利益が出ていませんね。 ユーザの期待に応えるような次のプランの開拓、収益化が上手くいっていない、といった様子です。
それだけであらば実質は横ばいなんですが、下がった要因というより上がった要因として、世界情勢があった、という分析の仕方が良かったのかもしれません。 実態よりも高く評価されていた。といったところでしょうか。
話は逸れてしまいましたが、自分の考えは間違っていないはずだ、また上がるだろう、下がった今が買い時だ、 平均取得価格を下げれば少しでも回復したときに被害を小さくできる、なんてサンクコスト・コンコルド効果に溺れぬように。
一度下がったらなかなか回復しない
当たり前のことですが、一度下がった株価はなかなか回復しないことがほとんどです。微振動こそすれ、乱高下する株は多くは無いでしょう。 執筆時現在でのビットコインなどがそれに該当するかなとは思います。株でもなくはないですが、そういったケースについては割愛。
単に業績を見て下がっていたとしても、それは今期は設備投資に回しているからだとか、 進行している事業の収益化が来期以降であるとか、そういったことはあると思います。
ただシンプルに見て、株価が下落するということは、多くの投資家がその事業への期待を薄める程度には業績が良くないか、 あるいは長期的な期待を持てないかのいずれかです。それでいて概ねその傾向は正しいように思います。
業績が悪化している状態なら、それを回復するための材料、施策が必要になるわけですが、それが見えるまで株価は回復して来ませんね。 むしろ下落傾向にあるでしょう。だって事実として業績が悪く、投資かも先のことが分からないですから。
また業績が悪い状態のまま運営されれば、業績が回復することは普通ありません。 あるとすれば外部要因でそちらも先が見えているものでは一般にはありません。
下落は一度起きれば続くもので、十分な損益が出ていると思ったら、早期に判断が必要ですね。
大枠として、業界全体や市場全体が落ちているときは、連動しているだけで他所に動いても同じだ、と見ることが出来ますが、 手持ちの特定の企業だけ落ちていると見たら、非常に注意が必要です。
買収や合併などへの期待はしない
滅茶苦茶下がった株を買いに行く、というのはありだと思います。 が、手持ちの株が大きく下がったときに、買収からの回復は、基本期待しない方が良いですね。 いや当たり前だろと思うでしょうけど。
いやね、可能性を感じてしまってですよ、ちょっと待ってみたんですよね。 ただ買収や合併によって株価回復したところで、その頃には買収が成立する程度には底値になっている状態な訳で、 ちょっと回復した程度では知れているんですよね。
買収主などがリーダーシップを発揮して業績回復するにも時間がかかるわけです。 というわけで「もしかして」の期待はしないことです。サンクコストに等しいですね。
長期の横ばいに注意する
投資に限らず「停滞は後退」みたいな説はありますが、やはり一定程度正しいような気がします。
長期保有している内、微増減するものの、変化がないに等しいな、というときは、結果として下がる傾向にある気がします。 なんかあんまり変化がないなと思ったら売却検討の余地ありかなと。
ただすべての場合に当てはまらない話ではあって、例えば(新興企業を除く)社会インフラ系の企業であれば、安定しつつ増減しにくい傾向にはあると思います。 極端に顧客が増えることもないですし、減ることもないですし。
大きな事業に取り掛かる、大きな不正が発覚する、政府政策レベルで影響される、世界情勢に影響される、などと比較的大きな影響によってのみ、 巨大インフラ系企業は株価を大きく動かしている印象がありますが、その辺は同業他社の動きや成績を見ながら評価って感じでしょうかね。
同業種に偏りがちなので注意
ニュースなどを見ながら興味のある企業を選んでいくと、どうしても同業種に偏る傾向があります。 それは個人の趣向によって、主体的に取り入れる情報にバイアスがかかる(=偏りが出る)からです。
例えばサッカーが好きな人がいたとして、周辺分野の野球などの情報を取り入れることはあっても、 芸術分野の話題の新人、みたいな情報は中々取り入れないわけです。
基本的にはよく見る分野ほどマイナーな情報を仕入れられるし、変化にも気が付きやすいです。 それはそれとして、良い商品を安価に買えたり、落ちる可能性のある商品を早期に切ったりできますが、投資の基本は分散でしょう。
特定業種にトラブルがあれば、その関連株は一律で低下しますから、それらばかり持っていてはある日突然、大きく減益する事態になってもおかしくないわけです。
もちろん毎日細かく変化を見出すようなことをしていれば、事故を察知して売り切ることもできるかもしれませんが、私は働きながらでは難しいと思います。
短期的な株の売買で利益を出そうと思う人は得意分野に注力するのもありかも知れません。
他方で長期保持で見て利益を考える場合は、意識的に業種を散らすのが必要になります。
最近では特に、CM、SNS、ニュースフィードの中の仕組みとして、ユーザの興味のある情報を意図して見せてきますから、注意が必要ですね。 ※フィルターバブルなどと呼ばれる事象。似た話題に、エコーチェンバー効果がありますが、ここでは割愛。
インデックス投資を活用する
「同業種に偏りがちで、意識的に分散する必要がある」というなら、知らない業種のことを調べないといけないのか、どの程度分散すればよいのか、という話になります。
もちろん自分で分散できればそれが一番いいとは思いますが、それなりの時間がかかりますし、知らない業種のことであれば、その分析評価の精度はどうしても落ちます。
というわけで、専門家が分散してくれているインデックス投資が一定数合理性を伴いますね。
"正確な"説明は割愛しますが、ザックリとインデックス投資の説明をすると、日経平均、S&500、オールカントリーetcよく聞く単語のそれらを使った投資信託です。
これらは、特定の市場に上場している複数社の株式価格を基にした指数(=基準値)です。日経平均は日本市場を、S&P500はアメリカ市場の代表的な500社を対象として、その株価から算出されます。 その市場では全体としてこれくらいの価格で株価が推移していますよ、というのが分かります。
それでインデックス投資とは、この指標を参考に使って、投資をすることです。
ただし実態としては、インデックス投資を自分で行わず、証券会社に任せてしまう=投資信託、ということになってるでしょう。 投資信託とは、証券会社が、インデックス投資をするからお金を預けてください、出た利益を分配します、といった形で売り出している商品です。
話を最初に戻して、インデックス投資とは、市場全体を見ながら株を購買する手法ですから、結果として分散することになります。 それを自分でやるよりは、専門家に任せた方が良くて、そのための商品がインデックス投資です。
もちろん元本割れ(投資金額を下回る)可能性もありますし、保有している間は一定の手数料がかかるのが一般的です。 でないと投資会社の利益がなくなりますから。
まぁでも下回る可能性は自分で個別株を買っても同じですし、分散してリスクヘッジしたいという構え方なら任せた方が堅実でしょう。
平均的な値を基に投資するわけですから、極端に株価が伸びる企業があったとて、利益もまた平均化されます。
短期間に大きな利益を得たいみたいな場合には当然不向きではありますが、株価の動きに張り付けるほどの熱量も時間もなく、 長期での投資を考えるなら、一定の合理性があるかなとは思います。
大手でも下がる
誰もが知ってる大手だから安心ということはないですね。こればかりは本当に。
潰れる心配は少ないですし、長期で見れば結果として右肩上がりになるかもしれませんが、 マイナスなんてないに越したことはありません。その資金で別に投資できる機会を失いますから。
執筆時現在だと自動車関連株でしょうか、各社の業績は兎も角として、全体が同じような推移をしています。
長い物に巻かれる
私は専門家ではなく多くの時間を投資のために割いているわけでもないので、結局のところ「長い物には巻かれていく」スタンスが合っています。
期待値の高い企業が新規上場(IPO)します、伸びが期待される株はこれらです、 といった情報が得られて興味を持てたなら、実際に買うかどうかは別の話として、きちんと調べるようにしています。 結果として見ず知らずの株を調べて回るより利益が得られる確率は高いように思いますね。
他方で見ず知らずの有料株を安価に買えたときほどのリターンはありませんから、 調べたりするのが好きな人、株取引そのものが好きな人にとっては、このスタンスは当てはまらないとも思いますが。
まぁあとはインデックス投資なんかは「長い物に巻かれる」最たるものでしょう。こちらも下手の横好きよりは堅実な選択肢に思えます。
1件IPO買わなくてよかったなというのもありましたが、これは事前の期待値が高すぎて実態と乖離していた形だったのでしょう、いわゆるご祝儀価格といったところでしょうか。 実際に買わなくても、注目しているだけでそういったこともあるんだなという学びを得ています。
特に新興企業だったり、伸びが期待されるといった前情報が付いている個別株を買う場合、買った後にはこの辺に注意しておく必要があって、管理コストはかかってくるなぁという実感もあります。
多様な株は管理しきれない
実感としてある(あった)のが、多様な株を保有していたとして、そのすべてを管理しきることはできていない、ということです。
ここで言う管理とは単に株価の上げ下げをきちんと追えているか、というのもそうですし、業績や事業はどうなってるんだ、というのはもっとそうです。
正直後者についてはそもそもそんなに細かく追えていないので、やっていることはギャンブルに近しい感覚があります。 もちろん数字を見たり、業種やその企業に何が期待できているのか、なんてことは考えていますけどね。 利益をより確実に得ようと思うのなら、きちんと調べるべきです。ところがまぁそこまで時間と熱量を割いてないと。
じゃあインデックス投資しなさいよ、というのはそれはそうなんですが、ここでは割愛。
株価を見ることで市場を見るようにもなりますから個別株を持っていること自体に一定程度の価値はあるとも思います。 他方で、沢山の種類を持っていても追いきれませんから、例えば業種や関連株の幅を広く持ちすぎていないか重複していないか、 株価は横ばいで下落の可能性がないか、など定期的な棚卸はしていきたいですね。
流動性の高い低いを考える
過去に株ではなくマイナーコインの類で経験したことですが、流動性が高くなければ売りたくても売れません。 本質的には意味合いが異なりますが、流動性とは端的には需要です。
価格が一定程度上昇した資産を大量に保持していても、その量を買切るだけの需要がなければ売れません。 価格が下がればなおこのリスクは加速しますね。
買いたくても買えない、なんてものも流動性が高いとは言い難いですね。そこで粘ってもどうなんだという気はします。 株であればまとまって買うことが出来ないことになりますから。
一般的にマイナーな資産ほどこの傾向にあります。今はまだ安いから今のうち、で飛びついた結果売れませんでは話にならないわけです。 価格を下げて売り切れればいいですが、価値が下がるばかりで売れないと地獄ですね。
余談ながら小数生産のブランド品なんかは買うときだけなかなか変えず、売ろうと思えばすぐに売れる変な資産になるんでしょうかね。