二輪の初心運転者講習を受講しました不名誉ながら

講習の通知書。

大変不名誉なことに、免許を取得してから 1 年以内に 3 点以上の違反点を頂いたため、二輪の普通運転者講習に参加してきました。

これについては多くの方がブログや解説を述べているので、今さら私がまとめたところでどうということはないのですが、 初心者向けの記事を書いているという繋がりもありますし、啓蒙活動あるいは自制の意味を以ってまとめようと思います。

講習の通知

講習内容に関する通知。

初心運転者講習は新規の免許取得から 1 年以内に以下の条件を満たすと受講することになります。

  • 1, 2 点の違反を 3 点以上積み重ねる
  • 3点 + 1 点以上の違反を積み重ねる
  • 4 点以上の違反を 1 回

受講は必須ではありませんが、受講しない場合、別途の試験を受けて合格しなければ該当する免許の取り消しとなります。 免許にも依るのでしょうが、この試験の通過率は 10% 未満程度らしいので、事実上は受講が必須です。

受講期限は基本的には通知から 1 ヶ月以内、例外的な対応もあるようですが割愛します。 入院、出張などによる期日や受講日の変更は可能なようですが、原則としてできないものと認識しておいたほうが良いです。 私も県外に出るスケジュールがあり、問い合わせをしましたが蹴られました。

なお通知書には印鑑の持参が記載されていませんが、印鑑を持参する必要があります。 もしかすると不要な場所もあるのかもしれませんが、私の場合には必要になりました。受講できなくなる恐れがあるので必ず持参しましょう。 受講日の 5 日前までに受講場所へ電話確認をするように示されていますが、この電話の際に確認が取れました。酷く不親切ですね。

受講の拘束時間は免許の種類に依り異なりますが、原付以外は基本的には 7 時間、休憩を含めると実質 1 日中の拘束です。 さらに違反時に支払った違反金に加えて受講料金を 2 万円近く支払うことになります。素敵ですね。

余談 : 私の違反内容

隙のある運転をする方が悪いのですが、私の場合は (1) 時間帯によって一通の方向が変わる道路で前の車についていったことで進入禁止で 2 点、 (2) 一時停止不十分による一時停止違反で 2 点の合計 4 点です。

(1) のときはバイクに乗り始めてすぐの頃だったので、前の車について行け運転で練習ていたときのことでした。 前方の乗用車に続いて交差点を曲がり、最後尾に並んでいた自分だけが取り締まりを受ける悲劇。

(2) のときは(自身では)一時停止した上にギアもきっちり落としていたのでやや口論になりました。 が、もはや収拾がつかなかったので受け入れてしまった状態です。

と、これくらいの内容でも普通に初心者運転講習に向かうことになります。 それまで 12 年はゴールドを維持してきたこともあり言い訳がましいことになっていますが、隙があるのが悪いのです。 あと都内は走りにくいと良く分かった。

講習の内容

講習を終えた証明書。

自己紹介

私の場合講習は 3 人で受講しました。地域や時期によって前後するでしょう。 最初に分かりやすく威圧的な態度で接せられ、任意なのでやる気がなければ帰って良いです的な時代錯誤も甚だしい説明から入ります。 以降は温和になりますが、そもそも任意って分かった上で出席してるので、この対応は今時どうなんだと思います。

一応実施の建前というか、文言として、重大事故は初心者の率が高いので、初心者に向けて手厚く指導しましょうということらしく、 事実数値的には減っているようですが、懲罰的な意味合いが強いのでしょう。

その後は出席者の自己紹介で簡単なプロフィールと違反内容などについて話をすることになります。 先に懲罰的な意味合いが強い、というように述べましたが、同十出席された方の経歴などを聞いていると止むを得ないのかなと思います。 1人は 15 点の違反(罰点時期に応じて取り消しにならない条件だったらしい)、 もう 1 人は 4 点の違反ですが、参加するにあたり当日バイクで横転事故をして来ました。

大小問わず私も同じように違反しているわけですから、人のことを言うまいと思いましたが、 確かにこのレベルの人たちが来るなら初心運転者講習というのは合っても良いような気がします。

適性検査と所内走行

自己紹介が終わると午前中のうちにペーパーの適性検査、教習所内走行です。 ペーパーの適性検査については、速度を出すのが楽しいかとかそういう性格審査的なもので試験的な内容ではありません。

教習所内走行については慣らし運転として適当なコースを走行した後、既定のコースを受講者で順に走行して、 その走行内容についてディスカッションしましょうという流れになります。 こういう条件のときはどうか、あの操作にどういう意味があったのか、などを教習官から尋ねられます。

これについては合理的、具体的でわかりやすく、むしろ教習所でなぜこのように教えないのか不思議と言ったレベルでした。 唯一有用だった講義内容に思います。場内試験と実際の運転との差異について言及しているあたり、 おおよそ実際の教習のときには教えにくいような内容とは想像に難くないです。

免許取得者なら周知のとおりと思いますが、所内走行と実際の走行とでは現実的に合理的じゃない操作・走行作法がままありますね。 一方でもし初心者講習を受けずに試験を受ける場合に、同じ走行をしてしまうと、減点されて失格になることも良く分かりました。 初見の走行ルートで確実に法律を遵守し、教科書通りの運転操作を実行できる人はそういないと思います。

技能走行

急停止

所内で試験走行が終わると、同じく所内で技能走行です。まずは急停車から入りました。 急停車の内容については教習所で習う内容や試験内容とほぼほぼ一緒で、前輪だけ、後輪だけ、前後輪での 3 回実施です。

急停止は実際の走行シチュエーションでも十二分にありえますし、運転技能として確認しておく必要があるので、これについては合理的かと思います。 良かったのは車体特性によって急ブレーキの比重を変更する必要がある、という話で、一般的なマニュアル車は前方にエンジンが付いている前傾荷重、 一般的なオートマ車は後傾荷重なので、ブレーキの比重を考慮しましょうという話でした。

ひょっとすると教習所の時点で習っているのかもしれませんが、少なくとも私は教わっていなかったので重要な要素かと思います。 むしろマニュアル車の免許を取得するときにオートマの乗車講義もあるので、そこできっちり教えて頂きたかった。

バランス

違反者のくせに何を言っているのかと捉えるかたも多々いらっしゃることと思いますが、 ここから先の場内走行についてははっきり言って蛇足のように思います。よくある、よく聞く「教習官すげーだろ」内容です。 ひょっとすると受講人数、受講場所によって内容は変わると思います。

まず狭いスペースでのバランス取り技能をやりました。白バイなどが試験でやってるやつですね。 バイク全長よりわずかに長いスペースの枠内に後輪がし入してから前輪が出るまでの時間を計測するやつです。

「楽しくはありますが」これを実施する意味は何でしょうね?なんであれば大型でもない、マニュアル免許でもない人たちを集めて実施しています。 そして至極私事ですが、私も BMX なる競技自転車乗ってた経験から、自転車なら結構長いこと止まっていられます。多分慣れ親しんだ車体なら同じくです。 どうでもよいと思ったでしょう?そういうことです。「教官すげー」な内容にしか思えませんでした。

体としてはバイクの扱いって難しいよね?ということみたいですが、 白バイ以外では現実的なシチュエーションに則っていないし、なんなら減速状態で事故しそうであれば停止してしまえば良いと思います。 曲芸乗りは確かに楽しいです。そういうバイクの楽しみ方もあるでしょう、私も BMX やってましたし。 しかし事故を防ぐべくして展開する講義内容じゃないなと思いました。

8 の字

バランス停止技能が終わったら 8 の字走行です。8 の字走行の周回時間を 2 回計測します。 1 回目はできる限り早く、2 回目は指定される時間を目標に走行しました。

これについての実施目的は「急いだところで大きく時間は変わらないよ」ということらしいですが、 恐らく 2 回目の方が早くなったりするとまた別のことを言われるような気がします。 なお同じような内容はよく追い抜きなどを例に教習所では習いますね。

この講習についてもどう考えても合理性はなくて、時間の長短を示すなら 8 の字よりも外周を走行させるべきです。 100 歩譲って、高い技術で 8 の字を上手く走っても時間があんまり変わんないよねっていう話を良しとしたとしても、 そしたら何でバランス走行なんて技術を教えるのか、理屈が通じません。

例によって教習官などの 8 の字の周回時間などを提示されたところで「教官すげー」にしかなりませんし、 なんなら 15 点の方もそれなりに早かったです。良い意味かは兎も角として流石ですね。

ひょっとしてこの日は仮免試験日と被ってたので、外周が使えないかもなんて理由だったのかもしれませんが、 そもそも外周使っていない時間を狙って所内を走りましたし、カリキュラム替えてしまって本質的なことが伝わらないのは、それはそれでマズいです。

路上走行

一般的な教習と決定的に異なるのが路上走行がある点です。お昼休憩を挟んで、午後から実施しました。

横転率の硬さなどから教習では路上に出ないのでしょうが、個人的にはやったほうがよいと思います。 さておき内容ですが、受講者で隊列を作って所内コースから出発し、先頭を入れ替えながら同じコースを周回、 戻ってきたらそれぞれの運転についてディスカッション、という内容です。

コースは無線機を使って指示されるので覚える必要はありません。 コース内容は、住宅街や視覚のある交差点、車線減少のある道、傾斜面、90 度の曲がり角、スクールゾーンなどでした。 意図的にそういうルートを設定するようにされているのでしょう。

運転の性格、仕方に違いがあるっていうのを理解するため、自分の気が付かない運転姿勢に気が付くためというのが体のようですが、 それは講習を受けずとも日常的に運転していれば気が付くように思います。 特別難しいことはありませんが、同じ内容の講習を免許取得時点から展開すれば良いのにな、とは思います。

と言ったところで視覚のある曲がり角を信号だけを頼りに突っ切っていった受講者の方を見ているので、 これについては結構実施する価値はあるのかもしれません。

安全啓蒙ビデオ

最後に所内に戻り安全啓蒙ビデオを視聴します。 車の免許も取得している方、免許更新の経験がある方なら、重々見覚えのある内容です。

特に言及することもありませんし、なんであれば冒頭で実施される適性検査と同じような内容なので、 これについては、あまりにも合理性はないでしょう。とりあえずやっておけば、きちんと指導しています、と言い張れるためのモノじゃないかと思います。

ちなみにブラウン管テレビ x ビデオでした。DVD ですらないです。現代の事例に合わせて更新する気はないようです。 必要性がないと言うことなのかどうかは定かではありませんが、お役所仕事感があります。

ペーパー試験

もっとも実施する意味が分からないものが最後に受けるペーパー試験です。 なおこの試験に受からなければ一日講習を受けた意味がなくなるという代物です。最初に実施するべきですね。

当日担当の教員の話の限りでは過去の正答率は 100% だそうです。 これが意味するところは、この試験は無意味であると言うことです。 THE お役所仕事です。

実際の出題内容に関しては、免許取得時に受ける学科試験のような難解かつ屁理屈な日本語はありません。 ○× の二択で 10 問程度「水たまりの隣に歩行者がいるが全力で通過した」とかそういう問題です。

おおよそこの問題を解けない人は免許取得の時点で通過できませんし、 なんなら免許を取得してない人が受講しても 100 点を取れます。 サイコパス的な思考か、著しく不注意を起こすなどの問題を起こしかねない人を発見する以外には役に立たないでしょう。

総括・感想

総括と言いますか全体の感想です。

(1) 教え方は非常に合理的なところが多かったです。私の通った自動車学校の指導員の方がいまいち感覚だよりな説明だったのに比較して、ちくいち具体的で合理的な説明だった気がします。 これについては指導員の経験の程度や個人差によって生まれるものですが、やっぱり私のことを指導してくださった方の多くが、うーんって思わせる人だったのだなとはっきり分かって良かったです。

別途会場になった自動車学校の二輪の指導を聞いていましたが、どの指導員の方も説明が具体的で明確だった気がします。とりあえず~から説明が入りませんでしたし。 とは言え、特に初心者講習の指導員になる方は、それ用の特別なライセンスがあるようですし、教え方もそれに伴って変わってくるのでしょう。

(2) 内容に疑問を持たざるを得ない部分が多かったです。これまで述べてきたとおり、部分的には非常に良くも、実際には必要なのかと思わせるような内容が多かったです。 現代的な視点でないものもあるし、指導内容としての合理性を欠いている部分も多々あるように思います。

これについては指導員云々ではなくて、決められたルールの中で展開しないといけないせいで、くすぶる思いをしている指導員の方もいると信じています。 代わりに分かりやすいようにとか、楽しみやすいようにとかって工夫が各個でなされているのでしょう。

(3) 総じて経験としては面白かったですが、もう少し改善してほしかったなと思います。必要性云々に関して言えば、 同日に受講した方が 10 点以上の違反なり当日に事故してくるなりしていることから、必要だと思いました。

一方でせめて重大過失とか、違反運転者講習 (6点) の代わりに展開するとか、そういう柔軟な対応でも良いのでは?という疑問が残ります。 まぁそれは自分に都合の良いルール設定の提案ですし、先に述べた通り隙のある運転をする方が問題なので、諦めるしかありませんね。 隙のある人が一回で人を巻き込んでしまうこともあるわけですから、油断せずに行きましょう。