リングフィットアドベンチャーの勧めと覚書

2022年中にリングフィットアドベンチャーを使って運動してみました。1週目?をクリアして思うところがいくらかあり、 もっと早く筆を取ろうとしていたのですが、出張など重なり遅れてしまって、もはや文脈を形成できないので覚書にてご紹介。 ネタバレ控えめですが、多少なり含みますのでご了承を。

ちなみに冒頭の写真のように中国への出張中に持ち運んでました。Switchとリング状のコントローラさえあればいいので、個人的には比較的楽に運べるのも良いところです。 (コロナ政策のための隔離機関があったから大変助かった)

興味モチベーションで始められる

「減量や運動をしたいんだけど、ジムやらなにやら探したり、いちいち外に出るのも面倒、何かしようとするのも面倒」という最初の切っ掛けにするのが良いと思います。 ジムだと契約したり月謝がかかったりしますからね。解約も面倒ですし。

運動習慣がない人がジムだと運動が続く、なんて例は結構少数だと思います。コストをかけたことによって行かなければならない気持ちになる、なんて場合は除きますが、多くの場合にはそうじゃないでしょう。

何をするにしても0→1でいきなり始めるのは大変なんですよね。興味を切っ掛けに0.1に進むくらいの気持ちで開始するのには丁度良いと思います。

一番いいのは定量的に数字で見れることです。その日のプレイ内容のほか、今までの累計も出してくれます。 時間の集計はゲームのプレイ時間じゃなくて、運動した時間を計測しているところもよいです。

体重・体脂肪の増減なんてものは正確に測り続けることはできないだろうし、何よりほとんどの場合には変化が小さくて実感が湧かないか、 あるいは不意の拍子に増えたりして、がっかりするかです。

比較して運動内容は積みあがるのでマイナス要因がなくモチベも保ちやすいですね。

時折大きな数字を達成するときちんと報告が上がってくるのもポイントです。この辺のデザインは本当によくできていると思います。

ただし、これだけで減量できるとは言いません。経験的に、どうあっても生活習慣を改善して飯の量をきちんと調整する方が効果があります。 特に減量を目的としてこのゲームを開始しようとしている人たちは、食生活改善の方が効果があるでしょう。自分もそうでした。 もちろん運動そのものに意味がないとは決して言いませんけどね。

食事や筋トレなどに関する知識も少しずつ与えられるので、その気があるならまずは試してみるのが良いと思います。

空間・住宅事情はある程度カバーできる

体の大きさにもよりますが、床面積に縦のスペースを2m弱は確保したいです。横幅は1mはあるとよです。 後は天井がよほど低いとか、腕を回すスペースがないとか、そういうことがない限りはプレイできるでしょう。

「運動の種類はある程度選べる」ので、必ずしもめちゃくちゃ広いスペースは必要ないです。 例えば脚を開く必要がある運動については、長手に向かって横を向いて運動すればよいです。 本体とコントローラさえ遮蔽しなければ、ある程度は向きに自由が利きます。

運動時の騒音問題が気になる方も多いでしょうが、クッションマットを敷くなどの対応で随分変わるとは思います。 座って行う運動メニューもありますから、個人的には導入を強く推奨します。

騒音についても、足踏みを伴う運動を避けることでより解決できると思います。 ゲームのプレイ動画などでは足踏みをしてコースを走っているシーンが見られますが、 住宅事情に合わせて軽い屈伸運動(膝の上下運動)に変更することができます。

他方で、ゲーム性の都合で、進行上、不利になる運動を選択せざるを得ない可能性はあります。 また絶対に特定の運動をする必要があるシーンもあります(内容は失念しましたが)。

ゲームデザインのよいところ

消費カロリー表記をオススメ

シナリオモードとミニゲームモードとがあり、基本的にはシナリオモードで運動していくのが良いと思います。 双六のようなマップに1つ1つコースが設置され、そのコースを達成するとある程度まとまった運動ができます。

左下には実際に運動した分だけの時間だったり消費カロリーを表示することができます。 個人的には消費カロリーの表記をオススメ。

時間で運動すると日によって運動量に差が出るし、一定時間運動すると「今日はもう休みませんか?」というアラートが出るので、時間を表示しておくメリットは小さいです。

「?キロカロリー」分だけ運動する、という目標だと、自分で目標立てやすいです。 慣れない頃は50Kcalとか、慣れてきたら100Kcalとか。

スクワットから逃げられないデザイン

コース上には様々な敵キャラクターとステージギミックが設置されています。 基本的にはステージ内を走るような運動を求められますが、合間合間にほかの筋トレの要素が含まれるのが良いです。

特にスクワットを使ってジャンプする、といったギミックが含まれますが、 スクワットは最も大きな筋肉を動かすわけで、クリアするために筋トレを強制されます(正確には色んな筋肉使うことになるが割愛)。

ほとんどの人がそうだと思うんですけど、スクワット系のメニューが一番辛いんですよね。 敵と戦うときにもスクワットをすることはできますが、たとえそうしなくても、道すがら必ずスクワットさせられるのは良いデザインです。

UIが素晴らしい

運動前には必ず特定の姿勢を取るんですが、その姿勢を維持した状態で3カウントされると、運動を開始します。 このときセンサーにかかる圧力やセンサーの姿勢で姿勢を判定しているのですが、この辺のデザインは秀逸だと思いました。

運動強度の設計もよい

キャラクタにはレベルが設定されていますが、運動強度とは連動していません。つまりキャラクタを強くするために運動強度を上げる必要はないです。 運動に主眼を置いた良いシステムだと思います。

運動強度はゲームの起動時と終了時に毎回設定できるほか、プレイ中に任意に変更もできます。強度は主に運動の回数に影響してきます。

高強度の筋トレには向かないかも

欠点寄りの話ですが「筋肉を肥大化したい」などの目的でトレーニングするには、リングフィットは向かないと思います。(※できないわけじゃないとは思いますが) リング状のコントローラから得られる不可には限度がありますし、基本的には自重で回数を重ねることで負荷をかけるためです。

もちろん自重トレーニングでも十分な負荷をかけられることは知っていますが、そのようなことができる人はリングフィットに頼る必要はないだろうし、 リングフィットの内容に沿うよりも、高度な負荷のかけ方をした方が効率は良いと思います。

短い時間で集中して負荷をかける一般的なウェイトトレーニングや瞬発力を要するトレーニングの方が向いている人はいるでしょう。

優れた戦闘システム

任天堂のゲームを評価するときに使われがちな言葉に「枯れた技術の水平思考」というものがあって、 私はこの言葉を安易に使うのが好きじゃないんですが、割と当てはまると思います。

リングフィットアドベンチャーはジャパニーズRPGライクな「ターン制バトル」を上手く筋トレに落とし込んでいます。 1回運動(=行動)して次は相手の行動を待つ、というターンのサイクルが、筋トレのセットに相当していて、上手くデザインされていると思います。

またRPGの例に漏れず、弱点や強弱関係があり、概ね「赤:腕メニュー」「青:脚メニュー」「黄:腹メニュー」となっています。

それぞれ相性の良いメニューに取り組むことでゲームをスムーズに進行できるので、どれかに偏ってトレーニングすることを避けられます。

改良できそうなところ

手放しにいいなと思ったところばかりじゃなくて、改良できそうだなと思うところもチラホラあります。

走行中のレベルデザイン

ステージを走るときには、コントローラを押し曲げたり引っ張ったりして、アイテムを壊したり吸い込んだりします。走りながら腕も動かすわけです。他にジャンプしたりもします。

脚と腕と組み合わせて運動させたり、ただ走らせるだけじゃないゲームデザインはすごく良いんですが、 走るのを妨げるようなレベルデザイン(コースの仕組みのデザイン)が時折あり、ちょっと嫌な感じを覚えました。爽快さがない。

一度脚を止めないとアイテムが回収できなかったり、ジャンプやアクションの直前・直後にアイテムが設置されている場合があるのです。 それは、ゲームを上手くプレイできるようになったり、効率アイテムを回収するためのレベルアップが成された後であれば、問題にならないのかもしれません。

写真の例では道の両方向にお金が落ちてるわけですが、走行中に左右を素早く向けて吸い込むか、脚を止めて吸い込むかする必要があります。 (※ゲームを進行すると、より遠くから吸い込むことができるようにはなる)

ところが、運動を主軸に置いているこのゲームで、そういったアクションゲームやリズムゲーム的な要素を設けるべきなのかは、疑問が生じました。 本来は運動を目的にするのもあって、走ることを中断させる要素は少ない方が良いと感じたのです。

また、これは家庭用のセンサーの限界の問題もあります。 アクション直前・直後に吸い込み、急な方向転換など、リング状コントローラの急な操作は、上手く入力されないことがしばしばあります。 概ね、爽快さを失いストレスを感じる瞬間がこれです。

センサーを阻害しない広々とした環境であれば、この問題は起こらないかもしれません。ところが、そういう環境ばかりではありません。 またこの要素がゲームの主題でない(ように思える)ことも踏まえると、レベルデザインには改良の余地があるように思いました。

ゲームにおいて成長を感じさせたり、ちょっと難易度が高い操作をクリアできるようにすることは、面白さを感じるための重要な要素です。 華麗なプレイ、いわゆる魅せプレイみたいなものが自分でできると、面白さは感じます。

私が疑問を感じてる部分は、そういう魅せプレイをさせるための要素にもなりえるので、必ずしも悪いものではないのでしょうけれど、 それならこのゲームではなくてよいし、このゲームにおける走行中に取り込まなくても、良かったのではないかな、と思いました。

とはいえ、ゲームにちょっと癖があるくらいが、飽きがこなくてよいのかもしれない、とも思ってます、完璧だとそれはそれで退屈さを感じそう。

またここで疑問を呈した要素は「ゲームのシナリオをクリアするために必須ではない」のは大変良いなと思いました。 ゲームの進行上で必須になるなら、よりストレスは大きかったかもしれません。

椅子を使った運動

いきなり椅子を用いた運動が始まるのは止めてほしいです。体を動かす運動をしているところ、つまりスペースを作っているところに椅子を持ってきたり、また片づけたりをするのが手間です。 進行上だったかマップを埋める都合だったかで、必ず椅子を必要とするこの運動項目が出てくるので避けられないんですよね。

そして椅子を使う運動もこれくらいしかないので、わざわざ必要だったのかな?とも思います。

他方で、これにはすごく可能性を感じるのです。それは椅子に座ったまま運動をする必要がある人に向けたゲームを作れるのではないかと。 ラジオ体操も椅子に座ったままバージョンがありますよね、同じように、椅子に座ったままバージョンができると良いのではないか、という可能性を感じました。

ディスクヒット

検索するとよく「難しい」と見つかる「ディスクヒット」というミニゲーム。これが曲者で、指示通りにプレイするとクリアできません。

身体を捻転してハリセンをスイングし、投げつけられるディスクを跳ね返して攻撃しよう、という趣旨のミニゲームです。

体を振り切った後、あるいはセンサーの誤反応を戻すためには、コントローラを下に向けて正面を向く、 という操作をするように指示出されるのですが、「そんな隙はありません」。

何故なら、コントローラを左に振り切った後、それを正面に戻そうとすると、右方向への入力となってしまうためです。このとき、キャラクタは右にハリセンを振ります。 するとキャラクタは右向き、プレイヤーは正面、というギャップが生まれてしまうのです。

さらに正面を向く動作が右向きの捻転として判定されるので、次のディスクへのスイングが間に合わなくなります。

このゲームをクリアするには、左から飛んで来たら左にスイングし、その次に来る右方向へは、一度正面を向かずにそのまま右へスイング、がよいです。 基本的には左右が交互に来ます。まれに2回連続がありますが、間が空くので、その時だけ正面方向へ入力をリセットします。いわゆる覚えゲーです。

回復・ストレッチがないがしろに

体力、HPを回復するためのメニューが主にストレッチ系のメニューです。これらが、ゲームの進行上ほとんど必要になりません。 相手から攻撃されるよりも前に倒した方が速かったり、体力を回復するためのアイテムやイベントがあるからです。

主に運動習慣がない人間がプレイするわけですから、多くの人にストレッチは重要だと思うんですよね。 なんなら一部の筋力トレーニングの側面が強いものも回復効果のあるメニューに入っています。 ところが、ゲームをモチベーションに運動をしていると、その攻略に必要のないメニューは選択しなくなりがちです。

この辺りのゲームデザインをもう少し上手く作って欲しかったなぁという勝手な思いがあります。 個人的には回復アイテムを作るなら、すべて攻撃メニューに振って欲しかったですね。

メニュー毎に強度設定"されたい"

キャラクタのレベルに関わらず、運動強度が設定できることは良いところではあるんですが、欠点もあります。 すべての運動メニューが同じ程度の強度になるのです。

例えばスクワットは今の運動強度に慣れてきたんだけど、腕を使うメニューは運動強度が強すぎて合わない、とか。 得意メニューとそうじゃないメニューで、適切な運動強度が異なったりするわけです。これは特に新しい運動メニューが追加されるときなどに感じます。

運動強度自体はいつでも変更できるし、ゲーム起動時に毎回聞いてくれるシステムが標準にはなっていて、ある種の面倒くささはないんですけどね。 言い換えればスクワットは強度3、プッシュメニューは強度5とか、上手い感じに「練度」的な強度を制御してくれると嬉しいです。

ただ強度の設定は前述の通り面倒くささを伴うので、広く色んな人に合わせるためには、一律の方が良いのかも。 運動メニュー毎に強度を変える上手いやり方もパッとは思いつかないですね。

※もしかして内部的には何かしら加減されてるのかもしれない。

座ったままできる腹筋ガードが欲しい

敵からの攻撃を防御するときは「立って姿勢で」コントローラを腹に押し当てる「腹筋ガード」をします。

ガードは攻撃の後に行うんですが、座った姿勢のメニューの直後に来るガードは、座ったままできるとテンポ良さそうだなってなんとなく感じています。 「運動が目的だろう、立つくらいはしろ」という意見はご尤もなんですけどね。

個人的には「前にプッシュ」というメニューを回復メニューじゃなくて、座ったままできるガードとかに当ててほしかったな。