デロンギのエレッタカプチーノを自宅で使った

コロナ流行によって在宅を始めた頃から、デロンギ社のエレッタカプチーノ、型番ECAM44660BHを自宅で使っていました。 一般販売はされていますが、利用用途やスペックを考えるに業務用レベルの物だと思います。 実際私が外食に足を運ぶことがあるお店のいくつかにも置かれているのを見かけます。

機能的には優れていると思うところも多かったんですが、やはり時折遊びに来る人がいるとはいえ個人宅で使うにはスペック過剰だったので、現在はお譲りして手放しています。

ではそもそもなぜ選んだのかというと、これは私の思想が多分に含まれます。まず手に届く範囲の最上級の物を体験すれば、 自分が今後その事に対してどれだけコストを割いたり、どういう物を必要としているのか、明確になる、という点です。 またもし満足すれば、使い続ければいいだけですからね、簡単です。 こだわりたいんだけど、長期的には考えることを減らせる、のが私にとっては必要なことなのです。

手放した他の理由についても思想が含まれるんですが「ハンドドリップなどで自分で入れることに対する信仰」みたいなものがあります。 これについては妙な言い回しになりましたが、具体的な内容もあるので後述します。

ミルクメニューは選ぶ理由になる

良かった点として、ミルク系メニューまで自動だったのは良かったです。 わざわざ上位モデルを導入するなら、これを理由にする他ない、まで言ってよいと思います。

カプチーノの類をよく飲む人には非常に便利です。他方あんまり飲まない人にとっては邪魔な部品。 自分は友人が来たときや最初の方しかロクに稼働させなかったです。

なぜならミルクによるカロリー摂取量を気にし始めたから、もっと飲むと思ってたんだけどなぁ(・´з`・)

飲める頻度が上がると、飲まないほうが良いなってなりますね、 たまに飲む分には美味しいと思うんですが、それなら機能としては別に機器を持っておいたほうが良いです。

ただ機械的にはミルクタンクが外して冷蔵庫に入れておけるのが良い設計です。この設計のために一般家庭でも動かせるでしょう。 また露骨に機械部品と思しきところまできっちり水洗いできるのが良いですね。これは取説見なかったら気が付かないと思います。洗えます。

ただチューブに関しては経年劣化で着色しがちな印象、気になる人はいるかも。 交換部品として割り切ってる設計なのかもしれないです。良しも悪しも言い難い。

エスプレッソ全自動の良し悪し

ミルクメニューは飲まなくなりました、じゃぁ他のメニューはどうなんだって言うと、エスプレッソには助けられましたね。 酒に酔ってるとエスプレッソとか高圧の物を扱うのちょっと怖いじゃないですか、そういった点を無視して全自動してくれるのは非常に良いなと思っています。

これは「全自動」であることに助けられただけなんですけどもね。ドリップライクなコーヒーについてもやっぱり全自動は助けられた、というシーンがあります。 特別エスプレッソを上げたのは、たまに私が酒に酔ったときか翌朝潰れてるときに飲みてぇな、ってなるからです。

ただエスプレッソのクオリティについてはどうなんだって話になると、満足度はちょっと低めだった覚えがあります。 最近になってお店でちゃんとしたエスプレッソを飲んでみて「うん、やっぱり違うな」ってなってしまった。

これについては豆や設定の工夫次第でどうにかなるのかもしれませんが、エスプレッソに特別にこだわりがある人には個人的には勧めないです。 こだわりというか、エスプレッソが飲みたい、って人には勧めないです。

そして、残念なことに私はそれに該当してしまった。もっと良いエスプレッソを求めてしまった。酒の後のエスプレッソよサヨナラだ(たぶん)。

清掃メンテの話

全自動とはいえ、使ったらその日はどうしても清掃が必要です。水は洗浄のタイミングで下の受け皿に溜まるし、使い終わったコーヒー粉の塊もストックされていきます。 これらはカビの原因になるものなので、放置できるようなものではないです。

数日フリーにできるとかだったら楽なんですけどね、まぁ環境次第じゃ置いといてもいいのかもだけど。

とはいえ手で入れるにしても器具を洗うなんて当たり前に必要ですから、一度にまとめてできる、って点を考えれば、やっぱり便利と思います。

設置場所については非常に融通が利きやすくて、大きくて重いものの、水タンクもミルクタンクも受け皿も、すべて前面からアクセスすることができます。 これは良いデザインでした。お見事。上からとか横からアクセスしないといけない、みたいな形になるとちょっとややこしい。

ただし、右側の水タンクの内側に「抽出ユニット」なる部品、コーヒーフィルターのような部品があり、それだけは取り外して時折に洗浄する必要があります。 なので右側にスペースを取れると良さそうです。

バラそうと思えばバラせる部品点数が多いのは、掃除を必要とする機器においてはよいものです。いいデザインだと思います。 ※写真がすべての部品ではない。

重たいのでそうそう移動してひっくり返してって掃除の仕方はできないですが、それでもエアダスターや刷毛の類は入れ込みやすく、 機能とサイズのことを考えれば、比較的メンテしやすい設計と思います。

なんで手放したのか、乗り換えたのか

掃除やメンテについて褒める一方で、家電製品である点には変わらず、「大きな機器を丁寧に扱う」のには少し疲れが来ました。 結局のところ一人二人分のコーヒーを入れて掃除するには物全体も部品も大きいです。

他方でハンドドリップだと、一つ一つの機器は移動しやすく、収納しやすいです。掃除についても機械よりグッと楽。 先にも少し述べていますが、大量の人が高頻度に利用して、その対価に掃除するならコスパは良いんですよ。 ただ家で使うにはやはり過剰すぎた(そんなん買うより前に明らかだろうと思う人もきっといるでしょうね)。

もう一つ、これは私の思想によるところですが、コーヒーを飲むときは、コーヒーを飲む"時間も"欲しいんですよね。 何かの作業のお供にコーヒーも勿論素敵だと思うんですけど、折角家で飲むなら美味しいコーヒーの時間を楽しみたい。 コーヒーを作れる時間や気持ちの余裕が欲しいんですよ。

ハンドドリップでは、湯を入れる速度やタイミングはこれくらい、濃度はこれくらい、みたいな所謂レシピがあるじゃないですか。 究極、それが一番美味しいコーヒーの入れ方なら、機械にやらせた方が良いに決まってるんです。だって人より均一な結果を残せるもの。

(極端なことを言えば、専門店にしても、エスプレッソは既にマシンに依存しているところが大きいと思う、その道の人から怒られるかもしれないけど)

ところが実際のところでは機械化が正義には至ってないじゃないですが、なんで味より時間や作る工程を楽しんでる節があるなと自分はそう考えています。 歴史辿って現在まで色んな作り方あるしね。アイデア試して均一じゃない結果を出せるのもマシンとの違いです。

こういう理由もあって、小型なマシンへ移行、なんてことにもならず、現在はハンドドリップを楽しんでいます。 家庭があるとか、子供がいるとか、だったらまた違った未来があったかも。そういうときはエレッタ使い続けてるかもしれませんね。

香りを楽しみたい

と、ここまでは思想的な所なんですけど、具体的な話をすれば「香り」については、マシンでは体験しにくいと思います。 少なくともこのエレッタで香りを楽しむのは難しい。なぜかというとグラインダーが機械の中に埋め込まれているからです。

淹れた後のコーヒーにもなくはないですけど、コーヒーの香りを強く感じる瞬間って、豆を取り出すときと、挽いてるときじゃないですか? それは閉じ込められてた香気が漂ってきたり、微細に砕かれてそれが鼻に届くせいのはずで、感性的な物とは離れてるものと思うんですけども。

まぁ焙煎するときが一番でしょうけど、機械式と手で入れるのとで、香りについて決定的に差別化される項目って香りだと思うんですよね。

少なくとも私がマシンから本格的に乗り換えてよかったなと思うのは、香りについてです。 味については自分で1~2杯分入れるのは、自分が美味しいと思える程度の技量にはすぐ到達したので問題なしです。

どういう人に勧めるか

私の思想や利用環境に過剰だっただけで、機器としては悪いものではないと思います。

  • 友達や家族で多く使うので素早くたくさんのコーヒーを入れる必要がある
  • 小規模なオフィスに置く(豆の補充や清掃は毎日必要になるけど)
  • 単にコーヒーを飲みたい需要がある(淹れる行為や味などの拘りに重きを置かない)
  • エスプレッソに強いこだわりがない

自分の勤める会社に置いて、コーヒー飲みたい勢で豆費用出し合ったり清掃とかローテーションしようとか考えたんですけど、 置く場所の問題と、ルール整備が面倒なので止めた次第。

短時間に多くの数を入れるには本当に便利なマシンだと思います。 繰り返しますが清掃面でも機能面でもよくデザインされていると思います。

味についても先の通りで機械で入れた方が味は均一で、多くの人に受け入れやすい普遍的な物が淹れられると思います。 ただエスプレッソについてはやっぱりデロンギのエスプレッソ用のマシンの方がよさそう。試したことないですけど。

家庭用だけどマシンが良いって方は、もっと小さくて安価なマグニフィカとかがよさそうです。 エレッタが特別良い、という人は、本当にミルクメニューが重要か、大量に利用する場合です。