テールランプとアクセサリを繋ぐコネクタの自作

最終的に出来上がったコネクタケーブル。

ここでは自作した、テールランプからアクセサリ電源を分岐するコネクタについて紹介します。 Honda Rebel250 のために自作したものですが、ホンダのコネクタであれば同じように作業できるでしょうし、 他メーカでもコネクタさえそのメーカーのものにすれば問題ないと思います。

最終的に出来上がったコネクタは冒頭の画像のとおりです。 テールランプ用のオスメスのカプラの間にアクセサリ電源を分岐し、ギボシ端子で接続できるようにしてあります。

既存のアクセサリを確認する

先日純正のテールランプを Kijima のテールランプに換装しようとして、ETC が接続されていたために作業をあきらめたのがことの始まりです。 同じような問題を抱えている人がいる可能性があるので、ここから話を始めます。不要であれば飛ばしてください。

まだ何も勉強していない頃に ETC の接続を依頼したことから、接続は次のように純正テールランプを切断し、スプライス端子によって分岐する形になっていました。

スプライス端子で分岐された純正テールランプケーブル

最も簡単で最も小さく配線することができる方法ですし、私はこれによってテールランプからアクセサリ電源(ACC)が取れることを学びました。 しかしながら、純正ケーブルは痛めてしまうし、ETC の純正ケーブルも加工するし、入れ替え付け替えは困難になるし、この方法はあまり良い方法とは思えません。

(接続方法について勉強し、事前に取り付け方法を共有するのが良かったです、あるいは取り付け自体は自分で行うか。乗り出しの自分にはその判断ができませんでした。)

Kijima のテールランプに付け替えるにしても、純正ケーブルと ETC のケーブルを切り離さなければ純正のテールランプは取り外せず、 切り離したら切り離したで別途電源を確保する手段を考えなければ、今度は ETC が機能しなくなります。

そこでできるだけ自由度の高い配線方法を検討することにしました。

コネクタの販売を確認して設計する

まずは同等のことができる製品が販売されていないか確認することから始めましたが、生憎と同じことができる製品は販売されていませんでした。 同等の製品があればそれを購入するのが最も安全で安い方法だと思います。

コネクタが販売されていることは調べたら分かったので設計していきます。理想的な設計図は次の通りです。

テールランプとアクセサリを繋ぐコネクタの設計図。

オスメスの Honda 用ランプカプラーを購入して繋ぎ、その間からアクセサリ用の電源を取得してブリッジします。 アクセサリ用電源にはギボシ端子のメスを付けておいて、ETC 以外のアクセサリも接続できるようにします。

Kijima や純正テールランプは既にカプラーオス端子が付いていますから、後は作ったブリッジに接続すれば良いです。 私の場合は ETC の先端をギボシ端子に変更する必要がありますが、ここまでしておけば後で自由に入れ替えができます。

テールランプとアクセサリを直接繋ぐ設計図。

仮に失敗したときのプランも立てておきました。失敗したときは新しく接続する Kijima のテールランプのケーブルから、 今接続されている状態と同じように、ACC 電源を取得することにします。

結論から言うとこの方法は取らずに済んだのですが、ギボシ端子に切り替わるだけでも取り付け取り外しの向上が見込めますね。

工具と必要品の用意

配線加工などこれまでに取り組んだことは一切なかったので、工具やらなにやらを一式そろえる必要がありました。 エーモン製品などが業界的に信用度が高いようだったので、積極的に選んでいます。

無名メーカーを選択して安くあげることも可能ですが、初めての取り組みですし、 問題が起こった時に素早く原因を切り分けるために、ある程度の信用のある製品を選ぶ方針です。

工具セット

まず工具はエーモンのセットです。これを購入すれば別途ギボシ端子を購入せずに済む、 別途工具箱を用意しなくてもバラバラに管理しなくて良いというメリットもありました。

少々チープ感は否めませんが、作業自体は進められているので、まぁ今のところ問題ないでしょう。 工具自体がすでにそろっている方は、ギボシ端子とそのゴムキャップだけ用意すれば良いです。

配線コード

ケーブルもエーモンのモノですが、赤と黒を用意しました。というより、太さが 0.5sq のエーモン製のケーブルは、赤と黒しかありませんでした。 ACC ケーブルは一般には赤と黒だけのようなので問題ありませんが、私の場合はウインカーのケーブルも自作していしまいたかったので、欲を言えば緑が欲しかったです。

ケーブルの太さを示す sq(スケア) ですが、これは太さだけではなく流すことができる電気の量、耐えることができる耐熱温度にも影響があります。 0.5sq にした理由はいくつかあります。

まず当然ですが 0.5sq で十分だったからです。取り付けようとしている Kijima のテールランプは 12V/3 or 3.9W ですし、 ETC を取り付けたとしても十分に 0.5sq, 12V 60W 以下の要件を満たすことができそうだったからです。

Rebel のカスタマイズで有名な方のブログによれば 0.75sq を使っていましたが、私の環境では 0.5sq で十分ですし、作業しても特に問題はありませんでした。 まぁ大きくて損をすることはほとんどないですけどもね。

UKKIY'S HOME

一般的なギボシ端子を使うためにも最低限 0.5sq が必要です。ETC のケーブルは見るからに 0.2sq で、念のために 0.2 のケーブルも用意しましたが特に意味を成しませんでした。 ETC 側は 0.2sq のケーブルと 0.5 sq のケーブルを接続してギボシ端子を付けて動作しました。

なおスケアの選択については次のページが大変分かりやすく参考になります。

配線コードの太さ(スケア)の選び方 - DIY Labo

スプライス端子

スプライス端子は残念ながらエーモンの電工セットには含まれません。したがって別途購入する必要があります。

足し合わせるケーブルの太さと流しえる電力用によって耐えうる端子を決定しますが、 エーモンで言うと、スプライス端子の大きさは M になります(0.5sq + 0.5sq = 1sq)。

私の場合は都合よく手に入らなかったのでエーモンの電工セットに入っている別の端子を加工して使っちゃっています。

カバーやテープシール類

絶縁カバーやシール(テープ)類は汎用の物を使います。自分は大体デイトナなどのモノを利用していますが、もっと安いものがあればそれでも良いと思います。 熱圧縮チューブや半田付けなどをするのも良いと思いますが、今回の私の作業はテープで行っています。

事故融着テープ類はホームセンターなどでも売ってますね。私のは確かドン・キホーテで買った記憶があります。

(ホンダ用)コネクタ

ホンダ用のコネクターセットがデイトナから販売されています。 商品名で一見するとウインカー用に見えてしまうのですが、テールランプ用もありました。3 つ配線ができるコネクター(カプラー)です。

なおこの部品予備が一切入っていませんから、配線未経験で予算に都合があれば 2 つ購入されることを推奨します。 私は作業中にケーブルのかしめ(取り付け)が甘かったせいで、一度抜けてしまい、電極部分を針で加工して取り付け直すなどしました。

コネクタの製作

部品の選定さえ終えれば、あとは慎重に進めていればコネクタの制作自体は初見の素人でもできる程度の難易度でした。 製作作業でギボシ端子を取り付けたりするのはここで解説せずとも、広くいろいろなところで解説されているので、参考だけ紹介して多くを割愛します。

カプラーだけ少々特殊ですが、基本的にはギボシ端子を取り付けるときと作業工程は同じです。 先にケーブルを端子にかしめてからカプラーに差し込んでいきます。

ホンダのカプラ差し込み口の様子。

カプラの差込口は特殊な形状になっているから差し込み方向を間違わないようにします。といっても差し込み方向を間違っていれば刺さり切りません。 例えば十字のところに長い分部がハマるようにします。差し込みが上手く行くとカチッと音がします。

アクセサリ電源を分岐した様子。

差し込みが終わったところでアクセサリ電源を分岐します。 ギボシ端子を付けておいたケーブルをスプライス端子で接続していきます。

と、このように私は進めてしまいましたが、 あらかじめ分岐しておいた方が分岐づくりの失敗時にリカバリーできるのでそちらの方が良いかもしれません。

アクセサリ電源を分岐させるケーブルは間違えないように注意してください。 ホンダなら茶から赤い+のケーブル、緑から-のケーブルと思いますが、必ずしもこの限りではないと思います。

そうしてすべての配線が完了して出来上がったケーブルコネクタは冒頭のモノです。

コネクタケーブルを取り付けた様子。

通電も確認が取れて、ETC もテールランプも正常に稼働していることを確認して作業を終えます。 私の場合は、この作業の段階でウインカー用の延長ケーブルも作っています。

しかしテールランプを分岐する製品については需要がありそうですが、どうして出ていないのか分からないですね。 他の箇所から取り回す電源であれば販売されているのですが…。