これからバイクを始めたい人に向けた資料ー誰も教えてくれないアレコレ

この資料は私が 30 になる年に初めてバイクの免許の取得を目指し、その経験のうちに得られた知見を共有するために執筆されたものです。 執筆時現在、教習所に通ってから 1 ヶ月を経過していませんし、バイクに乗り始めてから 1 週間を経過していない、新鮮な心境でこれをまとめています。

この資料は、なんとなくバイクを始めようと思う人、始めてみようと思うが躊躇している人、 始めるとして、どんなものなのか知りたい人、始めるにあたってどんな知識を調べて得るべきなのかが分からない人などを読者に想定しています。

法律的な内容や、関連する周辺情報・環境については、執筆時現在と異なる可能性がありますので、十分に注意してください。

バイクは趣味性の高い乗り物である

最初に、バイクにはかかるコストが大きいこと、趣味性が大きいことを紹介します。 単刀直入に言って、50CC くらいまでのいわゆるスクーター・原動付と言われる類のバイクを除けば、基本的にはバイクは趣味性の高い乗り物であると言えます。 車に勝る利点がほとんどありません。実用性の面で比較して車よりも有利になる点をあげるとすれば、条件によっては車検が不要で、駐車スペースが小さく済む点くらいです。 一方で積載量は比較すれば極めて小さく、天候次第では運転や走行、快適さに大きな影響を及ぼし、事故によって受ける被害の大きさは甚大になります。

50CC クラスを近所までの通勤、通学、買い物に利用するメリットは十二分にあるでしょう。新車で購入してもそれほど高価なものでもなく、 免許取得費用も維持費もかなり低く抑えられ、駐輪駐車スペースについてもそれより大きいバイクと比較して苦情がでることも少ないです。

私の場合は車の運転を 10 年以上と続けた上でバイクの免許を取得しましたが、 あらためてバイクにかかるコストは大きく、ほとんどの人に取っては趣味のための乗り物であると思います。

そしてなにより、なんだかんだで維持費がかかるので、趣味にしてもコストパフォーマンスは決して良くないでしょう。 なので、コストを考慮して車よりバイク、と考えている人には、ちょっと考えたほうが良いよ、と言いたいです。 後に続いてコストについて紹介しますので、それを見て思いとどまる方がいれば、以降の内容は無駄になってしまいますが、それはそれで幸いなことと思います。 事故の危険から遠ざかりますからね。

バイクに乗るまでにかかる費用

乗る予定であるバイクのサイズとかかる保険のための加入条件(おもに年齢)に依存しますが、 仮に普通自動二輪免許を取得するとして、私の実例を元にかかる費用を紹介します。

  • 普通自動二輪教習料金 = 15万円(普通自動車中型限定のため学科免除)
  • 免許更新費用 = 0.4 万円
  • バイク本体(新車250CC) + 自賠責保険料(3年) + 整備費用 = 55 万円
  • 任意保険料 = 3 万円(年)
  • ヘルメット = 4 万円
  • グローブ = 0.5 万円
  • チェーン = 0.9 万円
  • カバー = 1 万円

合計でおよそ 80 万円です。免許取得のための交通費、追加で購入したカスタムパーツ、 ガソリン代、今回は実家のある千葉に駐車していますが、もし東京に置いておこうものならこれに駐輪代が上乗せされます。 備品については安く抑えることもできますが、やっぱりバイクは趣味性が高い物で、であればこだわりを持つのは必然とも思います。

安全面を考慮して、最初は高機能なヘルメットを購入したのは私のこだわりです。 1 万円程度あれば JIS 規格など一定の品質が保証されるヘルメットが手に入りますが、悪天候時や通気性などに配慮され、 事故を起こしやすい初心者のうちは、少し高くついても良いものを買おうと決めていました(見た目も多少妥協)。

運転免許初取得であれば学科の分だけ教習料金が上がって期間も増えますし、若ければ任意保険にかかる料金は上がります。 もし最初から大型を期待して取得するなら、さらに車体・教習・各種必要物品の費用が増額します。 また 250CC を超えれば車検も必須になり、やっぱり費用面でも時間の面でもコストが上がります。

新車でなければ本体価格は下がりますが、代わりに継続してのるうちにメンテナンス費用がかかる率が高くなり、おそらく追加の費用が必要になるでしょう。 もしバイクを購入するとして、とりあえず安いそれなりのバイクを購入して練習してから、改めて欲しいバイクを購入する、という手はありだと思います。

125CC であれば中古でそれなりに整備されているものが 20 万円以下かその周辺で購入できますし、それはそれで満足感があるでしょう。 もし例えば 30 万円で中古車を購入していれば、初乗りまでにかかる費用は 60 万円程度ということになります。学生は現実的に中古車ですかね。

とりあえずザっと並べましたが、要するに新車で 250CC の初乗り 1 年目にかかる費用は安くても 80 万程度、おおよそ 90万, 100 万円に近づいていくわけです。 もし車の免許を持っているなら、安い中古車を買って 1 年間の駐車場代を支払えるレベルです。やはり実用面で見ればコストパフォーマンスは良くありません。

趣味としてのバイク

バイクの維持には相応のコストがかかります。ここでいうコストとは時間と金額です。

コストから見て行きましょう。駐輪場を借りれば駐輪場の分だけ、保険は自賠責と任意の 2 種類で、当然ですが任意保険に入らない手はありません。 ざっくりですが自賠責が年間 1 万円、任意保険が 3 万円、駐輪場代を月に 0.6 万円程度とします(私の都合の良い駐輪場は 0.8 万)。 これに排気量によっては 2 年に一度 4 万円くらいの車検がかかるとして、1 年あたりの維持費は、乗らずとも 12 万円 ~ くらいでしょうか。 月に 1 万円はかかる計算ですね。 バイクに乗らなければ月に 1 万円分を家賃なり豪華な食事に回すことができます。

またバッテリーが上がったり、いつか中古車として売却することを考えているのなら、定期的に乗車したりメンテナンスが必要です。 メンテナンスはお店に持っていけば費用も時間も掛かりますし、自分で行えば当然その分の時間がかかります。 メンテナンスに必要なツールや器具、薬品の類も用意して管理する必要が出てきます。

メンテナンスも含めて趣味と思えば、ひょっとすると安いものなのかもしれませんが、もし飽きっぽい性格だったり、 乗るのは好きだけど機械いじりそのものが好きでなければ、十分過ぎるほど大きなコストです。

大型か中型か小型か

大型自動二輪の免許は 400CC 以上のバイクに乗る場合に必要になります。 一昔前であれば大型は免許センターでの限定解除試験に合格する必要がありましたが、現在では一部の大型教習を開講している教習所でも免許を取得することが可能になりました。 ただし、大型を直接取得する場合は普通より受講する項目数が増え、受講時間が長くなります。

もし乗りたいバイクが既にあって、必ず大型自動二輪の取得を目指すなら、費用の面で言えば、最初から大型自動二輪を取得するのを目指すのが良いです。 また、教習所によっては普通自動二輪を取得してから 1 ヶ月~数か月以内に大型自動二輪の教習を申請すれば、 かかる費用を安く抑えることができる場合がありますから、悩んでるならそのような制度がないか確認し、利用するのも良いと思います。

一方で、とりあえず普通自動二輪を取得してから大型の取得を考えるという選択も良いと思います。 受講する期間が長くなりますし、技能教習に対して年齢や運動能力などの理由から自信を持てない場合に、普通免許を最初に取得するという選択は、 事故や怪我、無駄な投資、モチベーションの維持などの観点から見て非常に合理的でしょう。私も受講期間とモチベーションを考慮して普通免許の取得を目指しました。 もし将来に大型を取りたいとなっても、追加の費用は発生しますが割り引かれますし、教習時間も短く済みます。

法的な話

他所の資料を見ても分かることですが、漠然と目を通されるためにも念のため、あらかじめ法的な話についても理解しておくのが良いと思います。

そもそも 125CC 未満のバイクでは高速道路を走ることができません。125CC 以上のバイクのみが高速道路を走行可能です。 したがって原動付自転車の類はすべてダメです。もし高速道路に乗りたいのであれば 50CC 以上のバイクに乗ることができる普通免許以上が必要になります。

250CC 未満のバイクでは車検が不要ですが、250CC 以上のバイクでは車検が必要です。 車検を嫌がる理由があるとすれば 2 つで、1 つはコスト面を考慮して、もう 1 つは手間や期間を考慮してのことです。

コスト面についてですが、かかる金額が変わるだけでメンテナンスは必要ですし、安全のためにお金を投じるものだと考えれば、 それを理由に免許やバイクの種類を選ぶ必要はあまりないと思います。長期的な運用コストを考慮するような熟練した人はこの資料に目を通していることはないでしょう。

ただ車検を受ける手間を考慮して、250CC 未満のバイクを選択することはあり得ると思います。 車検は期限が切れる 1 ヶ月前程度から受けることが可能ですが、出張などが多い人はスケジュールの制御が難しいでしょうし、 決められた期間に何かをしなければいけない、というのがそもそも煩わしく感じる気持ちは良く分かります。

あとは「乗らないけどバイクの車体自体は所持し続けたい」なんて需要があるなら、コストを考慮してもよいかもしれません、という感じでしょうか。 たとえば HONDA のモンキーとか可愛いですよね。

さてあとは大型についてですが、法的に決定的に影響が出るのは「深視力」の必要性です。通常の視力検査とはべつに検査が入ります。 深視力は奥行き方向を適切に知覚できるかどうかを表すもので、この検査がパスできないと、教習所を卒業していても、大型免許を取得することができません。 そもそも教習所に申し込む時点で深視力検査がありますけどね。

もし大型が欲しいってなったなら、深視力検査ができる眼科へ向かうか、教習所で検査させてもらうのが良いと思います。 それなりに年を経てから大型の免許を取ろうとするときに問題になる可能性があるのは運動・学習能力のほかにこの深視力もあげられるのかもしれません。

排気量の違いがもたらすもの

サイズがもたらす影響

バイクを趣味にしたいという人の多くはその見た目から入ると思います。 排気量の大きさはすなわち車体の大きさに直結し、いわゆる大きくて勇ましいバイクはほとんどが大型で、 代表格がご存知のハーレーダビッドソンか、VMAX (メーカーはYAMAHA) とかでしょうか。

見た目の良し悪しを除いて車体の大きさを選ぶ基準とするなら、取り回しやすさと駐輪スペースを確保できるかの 2 つが理由に上がります。 小柄な方が大型に乗っているのを見ると大変カッコ良いですが、もちろん押して動かすのは大変ですし、事故ればそこから復帰するのも大変です。 逆に大柄な人が比較的小さいバイクに乗るのにも問題があるハズで、姿勢が窮屈になって長距離の乗車が苦しいと言うことは大いにあり得ます。

駐車スペースについても結構な問題で、都市部では駐輪可能なスペースがかなり限られてきていて、例えば一時的に路肩に寄せるにしても、 かなり苦しいケースが良くあります。また貸出式の駐輪スペースもサイズが決められていて、400CC 以上のアメリカンともなると、既定のサイズに収まらないなんてことがあります。 ひょっとすると、改造の仕様によっては 250CC 程度のアメリカンでも入らないかもしれません。アメリカンは大きいですから。

パワーと走行性能

これは色んなバイクに乗るまでは強く意識しないことで「教習所では分からない、教わらない感覚」ですが、バイクにおける排気量の違いは走行性能に明らかに影響が出ます。 もちろん車でも同じように影響は出ますが、極端に上下するほど排気量が異なる車にそれぞれ乗った経験のある人はそれほど多くないと思います。 (軽自動車と普通自動車で高速道路に乗るような違いと言えば、車に乗っている方にも伝わるでしょうか)

125CC ~ 250CC もあれば街中で乗る分には十分ですし、冒頭の繰り返しになりますが、そもそも近くへ通勤通学する、買い物へ行くという位なら 50CC で良いです。

私の場合は 250CC が最初のバイクとなったわけですが、400CC の教習車とは明らかにパワーが異なり、特に発進時、坂道、高速走行時には違いを感じます。 これを書いてる執筆時現在、乗車して 1 週間を経過していませんが、それでも明らかに分かる程度には違いがあります。正直、高速道路を 250CC で延々走るのは辛いものがあると思います。

250CC あれば高速道路を走ることができますが、延々とスロットルを大きく開き続けるのも疲れますし、車体の軽さも相まって揺れや振動が大きく感じられ、すごく不安な気持ちになります。 隣を抜けていく大型トラックやバスなどの風の影響もすごく感じますし、ひょっとすると初心者特有の感覚なのかもしれませんが、高速道路を走るなら明らかに排気量が大きい方が良いなと分かります。

したがって 400CC の選択肢は非常に良いと思うのですが、400 CC は執筆時現在(2018年7月)ではかなり衰退していて、多くのメーカがラインナップをなくすか少なくしています。 需要として大きいバイクに乗りたい人は 400CC 以上のバイクを乗るし、街乗りを目的としている人は小さいバイクを選んでしまうという点と、 日本以外の国での排気量の基準が 400CC ではなく 500CC などになっているため、コストダウンのために 400CC を基準に生産をしなくなってきている、という点が響いているようです。 とくにクルーザー、アメリカンタイプは壊滅的で、執筆時現在ではすべての大手メーカが新車の生産を終了しています。

400CC 以上のバイクは恐らく街乗りには過剰スペックと言えますが、遠出も見据えたツーリングを趣味にするのであれば 400CC 以上が良さそうです。 また先のとおり海外を基準とするために 500CC や 650 CC くらいのほど良いサイズのバイクのラインナップがチラホラ見えて来ていて、 いかにも大型車といった 900CC や 1100CC しか選択肢がないかというと、全然そんなことはありません。アメリカンでなければサイズもほどほどに収まりますしね。

教習所の選び方・できれば合宿が良い

教習所選びについて、2 つもちろん通いやすいことを前提に選ぶのも良いと思いますが、オススメしたい点がいくつかあります。 上から順にオススメします。

  1. 合宿で取得する
  2. 教官の評判が良い教習所を選ぶ
  3. 広い教習所の方が良い

合宿で取得するメリット

バイクの操作性は車と比較して格段に複雑です。つまり、できるだけ継続して乗車し、運転操作に慣れることが重要になります。 とくにマニュアルのバイクとオートマの車とは、運転操作の複雑さに雲泥の差があります。 しかしながらバイクの実技時間は非常に短く、その割に一発アウトとなる試験項目が多く存在する、といった状況です。

教習所で座学や実技講習を受けるには予約制度というものがあり、混雑時期には予約が取れないなどの事態が発生します。 混雑時期を避けるという選択肢もありますが、安定して連続乗車できる合宿を選択するのは非常に合理的です。 金銭面でも節約できる傾向にありますね。

問題点があるとすれば開催時期が比較的限られること、仕事をしながら合宿には参加できないことが挙げられます。

(実技) 教官の評判は非常に重要

座学については最悪教本なり練習問題を解き続けていれば自力で解決することができます。 教官の指導があまり理解できるものでなかったとしても、大きな問題にはなりません。

一方で実技の場合は異なります。バイクは特に車と異なり隣に教官が乗りません。 後ろを追従するか、先行するか、少し離れたところから指導するかのいずれかです。 したがって車と比較して、具体的に、どのタイミングで、どうなったのか、どうするべきなのか、直感的な理解が難しくなることが度々あります。

もっと残念なことに、多くの場合、バイクの教官は車の教官と比較して人数が少ないことが良くあります(あるようです)。 したがって気が合わない、よく理解できない、評判が良くない教官がいる場合、多くの時間をその人と過ごし、その人から教わることになります。 それはあまりにも不幸です。

人と人同士の関係ですから、相性の良し悪しは当然のように生じますし、バイクには公道での教習がありませんから、 特に教官が厳しくなるのも納得がいきます。とはいえ、人によっては凄く高圧的な方がいるのは紛れもない事実で、 残念ながら心が折れてしまい、教習を断念する人がいる現状があります(車ですが私の友人にも 2 人いました)。 なので、もし色んな側面から自信を持てないようなタイプの人は、ぜひ教官の評判を調べてみたりすることをオススメします。

良くなかった教官の例

  • 典型的な体育会系教官。最初の 1 回でも失敗すると「やる気がるのか」と言うが、やる気がなければ来ない。
  • 感覚的に指導する教官。「リズムよく運転できたか」などと繰り返し訊ねてくるが、なにを以って「リズムが良い」なのか不明で、当人の感覚に合致する回答が得られるまで納得されない。
  • 指導方針が教官によって異なる。別の異なる教官と言っていることが食い違う。あるいは聞いてないという。

良かった教官の例

  • 苦手な操作について相談し、繰り返し練習する時間を設けてくれる。
  • 「具体的に」どうすれば良いのかを説明し、実践して見せてくれる。

広い教習所の利点と欠点

バイクに限らずですが、教習所が広い方が、何かとメリットがあります。1 つは運転に余裕が持てるケースです。 カーブや細かい練習項目用の障害・コースが詰め込まれている場合、次から次へと運転操作を行う必要がありますし、細かい制御も必要になります。 当然のことながら、他の車やバイクとの干渉も起こりやすくなります。

運転操作に慣れてくれば広さはほとんど影響しませんが、初めての運転で、焦らず心にゆとりを作り出すために、広い教習所は有利に働きます。 運動能力に自信が無かったり、ハンディキャップがあったりする場合などには、広い教習所を選択する、というのは合理的と思います。

一方で広さと通いやすさのは概ね相反している気がしていて、特に都市部・市街地内にある教習所では狭いことが多いようですし、 そうでなければ定期バスなどで移動していくような、すこし離れた位置にある教習所になってしまうことがほとんどと思います。

あと広い教習所の場合、一度に受講できる教習生の人数が多いと思われます(教官の人数にも依存しますが)。 予約の取りやすさにも影響が出るでしょう。

私の場合、車は市街地から離れた広い敷地、バイクは駅から 5 分の狭い敷地で練習しましたが、 広い敷地の方が、教習のしやすいし、予約も取りやすかったと感じています。

バイクの教習を受ける際の服装

私が通った教習所では軍手、ヘルメット、プロテクタ、靴の貸し出しがありました。 教習を受ける段階で必要な物があるかどうか、入校時に確認するのが良いですが、服装についていくつか紹介しておきます。

薄めのスニーカーを強く推奨

教習を受ける前から安全に気を使ってブーツや厚手の靴を用意するのは悪手です。甲の部分が比較的薄い (普通程度の、厚くない) スニーカーが良いです。 厚手の靴の場合、クラッチ操作の感覚をつかむことが困難です。安全のために比較的厚い、くるぶしまで隠れるような靴を履いていきましたが、無駄どころか邪魔でした。 特別に指定された格好がないかぎり、しっかり足にクラッチの位置や操作感覚が伝わるように、普通程度のよくあるスニーカーを強くオススメしたいです。 なおクラッチ操作によって靴は擦れますので、オシャレ着用の靴は避けましょう。

長袖長ズボンは夏でも必須

また長袖長ズボンが必須とされていますが、これは特別の注意がない限り厚手の服装でなくても構いません。 したがって夏場などではとくに薄い素材のもので良いです。やはり分厚いと操作しにくいですし、 後で使うからとわざわざ気合を入れてライダースジャケットを購入して着ていくようなことも絶対に必要ありません。

ただし、ズボンについては溶けてしまうような、熱に弱い素材のものは避けましょう。 エンジンに少しでも触れると溶ける可能性があります。

バイクに乗るときは基本的には長袖長ズボンを推奨されていますが、乗り始めるとこれが確かにそうした方が良いことをよく理解できるようになります。 教習所内では速度を上げて運転することはまずありませんが、公道を走る際には 60km 程度で走行することは当たり前にあり、 そうなると少しの飛び石や虫などの衝突がすごく気になります。

また走り出せばそれなりに風を受けるので、薄い素材の長袖長ズボンであれば、夏場でもそれほど気温は気になりませんし、 むしろ車と異なり常に外に体を置き続けるので、日焼けによるダメージを軽減することもできますし、冬場であれば当然のように体温を奪われますから、 やっぱり長袖長ズボンは合理的です。

バイクの購入までにかかる期間と手続き

車もバイクもですが、(1)お店に行って、(2)これが欲しい、(3)お金払った、(4)わーい、とはならないわけです。 ここではバイクに限定しますが、欲しいバイクを決めたら住民票を提出し、 陸運局へ届けてナンバープレートを取得して貰って、バイクを整備してもらって、初めて手元に置くことができます。

もし欲しいバイクをどこか地方なり工場から取り寄せようと思えば輸送までの期間を考慮する必要がありますし、 後に続いて解説しますが、最初にバイクに乗り出すときは、初めての公道になるので、 安全面を考慮して、バイクを自宅まで配送してもらいたい、とか考えるなら、その期間も必要になります。

店頭に置いてある、比較的整備がなされているバイクを購入するときのことを考えてみます。 卒研を 1 回で合格する見込みがあるとして、卒研を受ける日の 1 週間前程度に購入を申し込めば、 卒業して免許を更新する頃には受け取ることができるようになるでしょう。 受け取りの日取りについてはお店とよく相談する必要があります。

なお卒研に落ちると 1 回の補習を挟んで再度卒研という形になりますから、 追加で 2, 3 日程度はかかるものと思って良いです(補習の日には卒研を受けられない)。

この他に任意保険、自賠責保険の手続きが必要です。 自賠責保険については購入時点でバイク車両本体についてなければ購入店側が手続きを進めてくれます。 任意保険については自分で選択して加入するか、お店の方に進められるものに入ることになるでしょうが、 自分で選んで加入するときは、受け取りまでに加入しておく必要があります。その期間も計算に入れてください。

ネットで任意保険に加入する場合は 1 日あれば済みますが、車両登録書(あるいはそこに記載されている情報)が必要になります。 要するにナンバープレートや車体の識別番号が必要になるわけですが、これらはバイクを購入したお店から情報をもらう必要があります。

私の場合は店頭にある整備済みの新車を購入して 4 日で手元に来ました。 4 日の間に免許に自動二輪を追加して更新する手続きに行き、任意保険を選択して加入する手続きをしていました。 前もってこれらの作業をしていれば、もっと早くに乗ることができたと思います。

バイクを手にしたときから本当の 2 段階教習

バイクの教習過程には路上教習がありません。したがって免許を取得し、最初にバイクを購入したときが、初めて公道を走るタイミングになります。 このときが真の意味で 2 段階の教習と言えると思います。

教習所内では速度制限が 30km に制限されていて、急発進・急停止の動作を除いて 40km を超えてくることは一般的にはないです。 ところが路上に出れば 30km なんかで走っていれば邪魔になるわけで、いきなり 50km, 60km といった速度で走ることが求められるわけです。

60km で走行し、信号に合わせて停車し、カーブや交差点を曲がる、といった作法は路上で、単独で学ぶしかありません。 あるいは周囲にバイクに乗り慣れた人がいれば教わるのが良いですが、たとえ一人でもそうせざるを得ません。

もう 1 つ注意するべきことは、バイクの型によって操作性能が全然異なることで、車より顕著に違いが現れます。 明らかに別の車体として、あらためてその車体なりの操縦方法を学習する必要があります。

おわりに

少しでもお役に立ちそうな情報はありましたでしょうか。私の場合、長く車に乗ってからバイクを運転することを始めましたが、 改めてバイクとは怖い乗り物であると感じます。走行中「この速度で事故を起こしたら助からないな」と思いながら走っています。

とは言え、バイクで走る楽しみもあり、風を体で感じる気持ち良さ、 上手く制御出来たときの楽しさ、緩やかに森や海を走るときの自由さもモチロンあって、 一時的に長期の休みを頂く程度にはまいっていた心を回復するには十分過ぎる位の体験を得ることができました。

これに目を通してくださった方がこれから先の未来に車に乗られるのか、バイクにも乗られるのかは分かりかねますが、 一切の事故などなく、安全な運転に終始し、また貰い事故などないよう運に恵まれることを祈りまして、筆をおきたいと思います。