極力小さいヘルメットサイズの選び方と加工の仕方

ここでは (1) ヘルメットのサイズ選び問題と、(2) 自分にフィットするように加工する方法について、SHOEI 公式の情報を交えながら紹介します。 モチベーションは、自分に合ったヘルメットを選ぶことと、できるだけ小さいヘルメットを選ぶことです。

できるだけ小さいヘルメットを選ぶ、というのは自分に合ったヘルメットを選ぶ、ということに同義ですが、 頭が大きい人の見栄えを改善できる可能性があるということと、その分だけの軽量化にもつながります。

多くの場合に初めてヘルメットを選ぶ方が目を通すでしょうから、それを前提にして書いています。 そうでない場合は必要に応じて読み飛ばしてください。

ヘルメットの種類

これを読む方は初心者の方でしょうから、ヘルメットの種類から悩んでいるかもしれません。 しかしながらヘルメットの種類とその特性差について、細かいことは多くの場所で語られているので多くを割愛します。

半ヘル

50 原付やビッグスクーターに乗る人に多く見られます。明らかに防御性能が低いですが、小型かつ軽量で着用しやすく安いです。

~CC 以上では利用することができません、あるいは乗車用ではありませんとされる商品が多いですが、法律的には問題がなかったりします(メーカー非推奨で責任を負わずという姿勢)。 この詳細についてはここではまとめませんが、乗車用ヘルメットに関する法律を調べると比較的すぐに多くの情報が見られます。 ただしメーカーが非推奨のように、私も非推奨です。

同じく全面がオープンなジェットヘルメットについては、最悪腕でも何でも犠牲にすれば顔面や頭部を守ることができますが、半ヘルの場合、 後頭部や側頭部もオープンなので、腕を犠牲にしようが何を犠牲にしようがカバーすることができません。

スポーツなどで頭部を強打したことのある経験がある方はもしかすると稀かもしれませんが、明らかにガードできる限界があります。

ジェット

カフェレーサー、アメリカン・クルーザータイプに乗る人に多く見られます。接触事故時に比較的ダメージが入りやすいあご部分の防御がありません。 全面が開いて開放的ですが、別途シールド、ゴーグル、サングラスなどを付けて目を守ることになります。

クラシックなジェットとスポーツジェットとありますが、個人的にスポーツジェットは頭を大きく見せるだけで特に利点はないように思います。 強いて言うなら機能性が高く被りやすい。誤解を恐れず言えばご年配の方が使われている印象が強いです(一番最初に購入したヘルメットがこれでした)。

フルフェイス

その他のバイクに乗る人に多く見られますが、着脱が少々面倒です。 また重いように見られますが、軽量に特化した製品は一般的なシステムやジェットと比較したときにそれらより軽量です。

他に風切り音が小さくなり、空力を考慮されている都合、長時間の走行や高速走行時に比較的楽に走れます。 ジェットとフルフェイスとを比較すれば明らかに走行時の安心感が違います(一方で自制心を保つ必要もありますが)。

システム

ジェットとフルフェイスの良いとこどりですが、公式にアゴを保護する性能はないとする説明書きがあったりします。 最初の接触さえ守れれば良いという考え方でしょう。機能分だけ重く大きく、高価になりがちです。

ヘルメットのサイズ選び

ヘルメットを選ぶとき、オススメしたい点が 2 つあります。当たり前ですが 1 つは必ず試着すること。 専門用品店であれば頭のサイズを測ってもらえるケースがほとんどです。 2 つ目は必ず 1 つ小さいサイズも試すことです。

サイズ選びを間違えるとどうなるか

もしサイズが小さければ、顔や頭部を圧迫して、数分のうちに痛みに代わり十数分も経てば激痛になります。 もしサイズが大きければ、走行中にヘルメットが動いてしまい大変危険です。またヘルメットが動くことによって通常とは違う部位が圧迫され、それもまた激痛につながります。 いずれにせよ痛みを伴い危険と言うことです。

私の場合は高速道路によって最初のヘルメットのサイズ感に疑問をいだきました。 一般道では気になりませんでしたが、ヘルメットがやや大きく、風圧によってヘルメットがズレるのです。 継続して風圧もあることで著しい頭痛を生みました。しかし高速道路では直しようもないのです。これは大変に苦痛なことでした。

ぴったりのホールド感があるヘルメットはない

サイズを間違えると激痛を伴ったりそもそも走行が困難であることは先のとおりですが、どう選んだってぴったりホールドされるヘルメットはないはずです。 メーカー各社が出しているヘルメットは汎用的なものですし、人の頭の形は千差万別です。

なのでおおよそのサイズで合わせて、後は加工します。 加工とはつまり、大きければ詰め物をし、小さければ削るです。 あるいはヘルメットによってはオプション品としてインナー部品を取り換えられるようになっています。

加工とインナー部品については後述します。

サイズはどうやって選ぶか

ヘルメットのサイズをザックリ決めるときは、基本的には頭の周囲を測り、それに従ったサイズの物を選びます。 メーカーやヘルメットの種類によって Xcm ~ Ycm が M であるとか L であるとかは異なるので注意します。

サイズ選びの手順として、SHOEI が公開している手順が大変参考になるので、これを基にヘルメットを選択するのが良いです。 周囲の測り方なども掲載されていますが、特に重要視して欲しいのは、1 つ下のサイズのヘルメットも試してみることです。

小さいサイズのヘルメットから試してください や、できるだけ小さいヘルメットを選んでください (ー SHOEI より引用) とあるように、メーカーは(少なくとも SHOEIは)、できるだけ小さいヘルメットを推奨しています。

何も知らないままお店に出向いてしまうと「被りやすいサイズ」のヘルメットを購入してしまうケースがあります。少なくとも私はそうでした。

後に続いて解説する「パーソナルフィッティングサービス」なるものもありますが、正直に言って対応してくださるショップ店員の方の技量に大きく依存すると思います。 残念ながら質が高い、きちんと勉強されている方ばかりではないと分かります。

あと、圧迫の苦痛を経験している都合と、削るよりも埋める方が加工が容易で安全であることから、大き目のサイズを選ぶように推奨されることがあります。 Youtube なども参考にしましたが、大き目のサイズを推奨される方もそれなりにいました(SHOEI ユーザであっても)。

確かにその方が無難なので、そういう風に推奨したいところではありますが、個人的には小さいものを削ることも是非検討してもらいたいです。

パーソナルフィッティングの紹介と注意

SHOEI, Arai などのメジャーメーカーの場合は特に、その人に合ったヘルメットを選ぶためのパーソナルフィッティングサービスというものがあります。

これは頭の大きさを正しく図り、必要に応じてオプション製品によって内装を変化したり、 さらには通常オプション製品にはないクッション材を入れるなどして、ヘルメットのインナーを加工してくださるサービスです。

特に頭のサイズが平均的な数値から離れている人には重要なサービスですし、何も知らない初心者が一番最初にヘルメットを選ぶには良いサービスとは思います。

しかしながら、手放しには喜べない部分もあるので注意も必要と思います。なぜなら、サービススタッフの方によって、技量がマチマチだからです。 恐らく技術研修、認定制度はあるのでしょうが、少なくとも私のことを担当してくださった方は良い評価をしかねる方でした。

パーソナルフィットで取り付けられたインナーパーツ。

実際にパーソナルフィッティングサービスで取り付けてくださったインナーのスポンジです。一般販売されるオプションにはありません。

厚みが 6mm 程度あるのですが、これが前後についていますが、厚みが 6mm 程度あるものを前後に取り付ければ 1.2cm です。 誤差が 1mm あったとしても 1cm はサイズが変わることになります。 さらに言えば、後述するようにヘルメットのインナーは容易に削ることができる部分もあり、ここからよりサイズを小さくすることができます。

メーカーのカタログや公式の資料を見て頂ければわかることですが、1cm 変わればヘルメットのサイズが 1 つ下がる可能性は十二分にあります。

要するに、パーソナルフィッティングサービスを使って私が購入してしまったヘルメットは、実はもう 1 つサイズを下げられた(可能性が非常に高かった)のです。 実際に買い直し他製品は、L から M にサイズダウンしました(同じ製品ではありませんが)。

何故注意が必要なのか

どうしてこのような問題が起こってしまうかというと、2 つ考えらえます。

1 つはパーソナルフィッティングサービスのサービススタッフの方の技量の差です。これは明らかでした。3 店舗回りましたが、 最初のヘルメットを購入したスタッフの方と、それ以外の店舗のの方とで、明らかに初心者に対する説明の内容と、ヘルメット選びに対するアプローチが異なります。

先に紹介した SHOEI の推奨するヘルメットの選び方 のような手順を明確に無視した方法でしたし、 公式のサービスであるにもかかわらず、小さいサイズから試す、ということもしてくださりませんでした。 不勉強であった私の責任は当然ありますが、残念な担当スタッフの方に当たってしまったという他ありません。

もう 1 つの問題点は、おそらくインナーを削る方へのサービスは多くの場合にされていないのではないかと思います。 理由は先にも少し触れていますが、インナーを削る作業は後戻りができません。スポンジ材などを追加するのは両面テープで仮止めなどして試して、 最後にしっかり固定する、という手順を踏めますが、削る場合にはそういったことができませんね。 なので削る場合は製品買い上げの上であくまで自己責任で行われるものになってしまうのでしょう。

そうなれば公式には大きいサイズを選んで埋めるという手段しかとることができないのだと察します。 後に解説しますが、少なくとも SHOEI 製品は明らかに削って使えるように作られているのに、ジレンマですね。

パーソナルフィッティングサービスを利用するときは、質の良いスタッフの方が担当してくださることを祈りつつ、 もしかするとサイズダウンができるかもしれないことを念頭に置いて、サイズが小さいものも試してみる、ということをした方が良いと思います。

逆に、小さいサイズも提案してくださるようなら良いスタッフの方かもしれません。2, 3 店舗目のスタッフの方たちは、 頭の周囲を測るなり被った時の状態を見て、小さいサイズの方が良いというのを推奨してくださりました。 後になって彼らのサイズ確認手順を調べてみれば、SHOEI 推奨の方法だった、という落ちです。

回転しないかをよく注意する

サイズ選びのときに SHOEI の推奨する手順 を参考にして欲しいことはくどいほどに書いてますが、 特に注意して欲しいのはヘルメットが前後左右に回転しないかどうかです。

ヘルメットが回ってしまっている様子。

お見苦しい写真で恐縮ですが、実際にヘルメットが回転してしまっている様子です(なおこれでもパーソナルフィッティングサービスを受けています)。 手で動かして、前後左右に簡単に回転するようなら、そのヘルメットは明らかに大きいです。 通常走行時は問題がないかもしれませんが、高速走行時や悪路、不意の振りむきなどで回転してしまう可能性があります。

写真は分かりやすく大きく動かしていますが、これだけ動く程度には緩いと言うことです。逆に言えば走行時にはこれほど動かないにしても、 走行時に視界に影響しない程度にしても、ずれてしまえば想定外の部位を圧迫し、激痛を生むと言うことです。

ジェットタイプのヘルメットはチークパッドが大きく作られていませんから、縦に回転しやすい特性は持っていますが、 それにしてもこのヘルメットは簡単に前後に回転してしまいます。新しくサイズの合ったヘルメットを選んだ今では左右も容易に思います。

初心者ゆえに私自身が被りやすさなどを意識してしまっていた節はありますが、それにしてもパーソナルフィッティングサービスを受けた割には残念な結果です。 初心者が陥りがちなミス、ヘルメット形状による特性などを考慮してほしかったです。何より前後左右に回転してしまわないかなどのチェックは一切してくださらなかった。

なので、私は 1 つ小さいサイズも試すこと、SHOEI 公式に従って回転しないかも確認することを強く推しています。

インナーの調整

インナーオプションを購入する

さてベースのサイズが決まったら、加工するよりも前にインナーオプションの購入を検討します。 小さめ、大きめのインナーオプションを取り付けて、それから加工しましょう。

ただしオプションが販売されていない製品もあるので注意が必要です。 特にフルフェイスやシステムヘルメットを選ぶときはそこまで考慮するのも良いと思います。

例えば SHOEI であれば、頭頂部の部分、チークパッド、後頭部の部分などのオプション品があります。 標準のものより分厚かったり薄かったりします。

ヘルメットのオプションパーツカタログ。

執筆時現在で最新のカタログを確認する限りでは、フルフェイス、システム系で後頭部まで調整できるのは最上位モデルの X- シリーズだけのようです。 私が購入した売れ筋路線の Z- シリーズにはチークパッドと頭頂部のオプションのみ対応していました。

インナーの加工

インナーの取り外しボタン。

SHOEI のインナーパッドの加工例です。特にチークパッドの類は加工がし易いようになっています。 ボタンを外すと中のスポンジが引き出せるようになっています。

外し方や容易な加工が可能なインナーについては、メーカーや製品によって異なります。 基本的に削ってしまえば元には戻せないので、必ず少しずつ作業するようにしてください。

加えて間違ってもやってはいけないのは、インナーではなくヘルメット本体のスチロールを削ることです。 カスタムヘルメットを請け負う特殊な店舗では加工されている例も見受けられますが、 そこまでするなら、1 つサイズを上げるか、完全に自作のインナーを作る方が良いと思います。

当然のことですが、私は一連の作業に関する一切の責任を負いません。

数ミリのインナーを削るだけでも相当フィット感に違いが出ます。細かく削っては元に戻して被るを繰り返しましょう。 被って部屋で 15 分も過ごせば、頭痛がしないか、圧迫感がないかは分かります。

ヘルメットは一番最初に手にして、最も自分で自分に合った加工がし易いバイク製品かも知れないですね。

インナーの初期状態。

参考までに SHOEI のチークパッドの中身を取り出した様子です。削ってくれとばかりに既にクッションが 2 層になっています。 私の場合は、頭の周囲で測ったとき 1 つ小さいサイズを選択したため、チークパッドは小さいサイズのオプションを選択し、その上でかなり削っていきます。

インナーを少し切り取った様子。

ちびちびと切っては被りを繰り返して、白い部分が無くなりました。くどいようですが、一度にはカットしていません。 チークパッドが緩いと、ヘルメットが前転する要因になるからです。

インナーをかなり切り取った様子。

最終的にはかなりの面積を削ることになりましたが、これでようやく丁度良いくらいでした。周囲は丁度なので加工していません。

小さい、小さく見えるヘルメット

ジェットとフルフェイスの比較。

再びお見苦しい写真で恐縮ですが、L サイズのジェットと M サイズのフルフェイスの比較です。 正面の絵しかなくカメラとの距離も正確に合わせていないので、もしかすると写真では分かり難いと思われるかもしれませんが、それでも横幅が最大の部分で 4~5% のサイズダウンです。 お店で手に取って試着して比較してもらえれば、L サイズと M サイズとのサイズの違いは良く分かるでしょう。

とは言え、それくらいしか変わらないのであれば、見た目のことなど考えず大きい方を選んで詰め物して調整した方が良いじゃないか、 と思われるかもしれませんが、そういう考え方もあると思います。人それぞれです。

また例にしている Z-7 は L と XL とでは帽体の大きさは変わらず、インナーで違いを出している、というケースもありますので、 購入予定のヘルメットのサイズについて調べることを推奨します。

サイズダウンの影響もありますが、スポーツジェットとフルフェイスとの差異とも言えます。 最大で 4~5% の横幅減であって、頭頂、あご部分に近い位置での横幅もかなり変わっています。

また見た目の上では前方に大きくせり出したジェットのシールドは、かなり顔や頭部全体を大きく見せる効果を出していると思われます。 肌色との一体感もないので、顔が強調されて余計に違和感がありますね。

顔が小さい人ならまた違う結果かもしれませんが、頭の大きい人はフルフェイスか普通のスモールジェットを検討した方が良さそうです。 それほどまでにスポーツジェットは頭を大きく見せがちです。システムメットもややこの傾向にあるように思います(インナーバイザーなどの都合で特に)。

見た目の話で言えば、柄とシチュエーションによる、というのは避けられませんが、柄物の方が輪郭をあいまいにするので小さく見えるかもしれません。

スモールジェットの是非

インナーだけでなくスチロール部分も薄く作られたスモールジェットという文化があります。 カフェレーサーや、ハーレー、アメリカン・クルーザー、クラシカルなネイキッドに乗られるの方が好んで被っている印象があります。

是非を問うなら個人的には是と言いますが、スポンジ薄ければ当然安全性能は落ちるでしょうとも言います。 日本の規格や国際規格を通しているケースもありますが、だからといってスポンジが厚い同規格のヘルメットと安全性能に差異がない訳がありません。

規格認定品以外は装飾品として販売されていますが、冒頭でも述べてある通り、法律的な拘束力は規格を通しているかどうかでは発生しないので、 被ろうと思えば自己責任において被れるケースがほとんどです。

薄くても規格品が良い点をあげるなら、事故の際に規格認定されないヘルメットを被っていたので保険が降りません、というリスクは軽減できるでしょう。 あるいは初めから装飾品を前提として作られているものはやはり耐久性に信用は求められません(明らかに装飾目的の物もある)。

バイクは自制心と判断能力の問われる、そして何より趣味性の高い乗り物ですから、自身の判断の結果、薄いヘルメットを被るのはありだと思います。 繰り返しになりますが、そのようなヘルメットを被って問題が起こっても私は責任を負いませんけれども。