時計価格の推移を考察、今始めるには(23/4)

腕時計の価格高騰と現在からの推移について、素人ながらに自分の思うところをまとめています。 自分が始めておいてなんですが、時計趣味を始めるには時期が悪いのだと思います。

懐に余裕がないけど、強いて今始めるなら結局ロレックスだろう、とは思うので、 その内容について最後にまとめています。

2, 3年前と比較すると高騰しすぎ

戦争およびコロナの影響に依るもので、価格が高騰しています。 つまり、製品そのものの製造プロセスや品質が向上したわけでもないのに、高騰しています。

極端なもので言えば、2年前に定価140万だった時計の定価が、執筆時現在で330万に膨れ上がったりしている時代です。同じ時計が、たった2年です。 ちなみに1年前では220万でした。他に、執筆時現在で1年前に、並行輸入新品50万で出品された経歴のある時計が、正規では112万です。

価格帯やブランドにも依存する話なので、一様には言えませんが、平均して30%以上の価格上昇という認識で良いと思います。

また、定価が上がると中古相場も必然と上がります。もちろん状態に依りますが、中古の価格が以前の正規価格くらいの気持ちです。

現在は少しずつ下降傾向にある、が

先の通り価格上昇の要因は2つ、1つはウクライナとロシア間の戦争、1つはコロナウイルスです。 先行して価格に影響を及ぼしたのはコロナです。外出の機会を失って、懐にある程度の余裕を持った層が、 代替的な消費行動のために時計を求めたのが切っ掛けとされています。

もう1つは戦争です。時計の需要が高まった状態とは言え、戦争が起きれば人員と素材となる物資が安定せず不足します。 経済的に安定しなければ貴金属の類も価格が高くなりますしね。

いずれの要因も、スイス、フランス、ドイツなど高級腕時計を牽引するヨーロッパ圏に強く影響を与えています。 ただ、執筆時現在23年では落ち着いてきたように見えます。自分が欲しい時計の価格を追うと、ピーク時よりは下落傾向にあることは必然と分かります。

他方で、それらの要因が起こるよりも前に戻るかというと、それは大層な時間がかかるか、あるいは元に戻らないかだと、素人ながらには思います。 価格を上げた状況でも需要が生じているためです。

先の2つの要因は「腕時計が趣味の物であること以上に、投資としての市場を形成させた」といって過言ではないでしょう。 これは腕時計の文化が長期的に生存するためにはプラスに働きますが、趣味として楽しむにはマイナスに働きますね。

また、ブランド正規店が価格をグンと下げることもそうそうないでしょう。 段階的に下がることはあると思いますが、上昇よりは緩やかになるはずです。それはブランドであるからです。

一度高い価格で販売した都合、その顧客の利益を守るため、そのブランドの価値を守るため、極端な値下げは一般的には考え難いです。 極端な例でいえば200万で勝った時計があくる週には150万円になっていた、となれば、そのブランドに対する信頼は低下するでしょう。

価格を以前の販売価格=適正に近しい価格に下げた方が心象や対応がいい、という考え方はもちろんありますが、勇気のいることだと思います。 ※ここでの適正とは、物の絶対的な品質、製造コスト、ブランド維持に関わる所を指し、現在における人件費や為替、需要などの変動のことを考慮していません。

正規の価格が下がらなければ、当然のように二次流通、中古市場の価格も下がりにくいです。

良く言われることではありますが、日本の給与水準の低迷もあると思います。 相対的に、腕時計のような趣向品の価格は高くなります。また円安傾向にあることが拍車をかけています。

狙い目の時計と狙わない時計

とは言え、趣味として始めたい気持ちは抑制できるものではないと思います。「欲しいと思った時が買い時」なんて言葉もありますしね。 素人のくせに勝手なことを書いていますが、個人的に「価格面で」考えていることをまとめておきます。

投資対象か否か

1つは、その時計が投資対象かどうかを考えています。 先の通り、腕時計が投資対象として市場形成されてしまった以上、既に名が知れ渡った時計が急落することはないでしょう。 明け透けに言えばオーヴァーシーズやロレックスはそれです。

他方で、あまり投資対象となっていない時計は値が下がる傾向にあります。投資を目的とする人は買わないからです。 ブランドが正規の価格を下げにくいであろうことも先に書いた通りですから、 並行輸入品で、自分が納得のいく価格の物があれば手を出すのがいいかもなと考えています。

私の場合はBELL&ROSSがそれです。昨今の情勢を踏まえて、生産数が落ちているであろうこと、 型番が古く良質な中古があまりないことを考えると、並行輸入で購入できたことに、個人的には十分な満足感があります。 高騰前の正規価格より少し安価だったので、より安く買えた時期の存在を考えても、損はしていないかな、という気持ちがあります。

※ブランドを応援したい気持ちはあるが、流石に20万円以上違ってくると、庶民たる私は低きに流れてしまった。

「投資対象だから価格が下がりにくいだろうと狙う」のか「投資対象だから趣味で楽しむには高すぎる=投資対象でない時計を狙う」かは、考え方が割れそうですね。

投資対象ではない時計の値下げは読み間違うと損した気持ちになることはありえそうです。こないだ買った時より下がってしまった、とか。

雲上レベルか投資対象の時計は難しい

雲上や投資対象の時計については判断が難しいです。2年前と比較して100万かそれ以上のレベルで変わってますからね。差額で時計を買えます。 下がりにくいと判断するか、あるいはその現行モデルが好きで、明日新しいものが出ても後悔がないかとか、良質な中古に出会えるかetc…いろいろ考えるところはありそうです。

個人的には今後出てくるものも踏まえて、雲上レベルの物は価格が大きく変わることはないんじゃないかと思っています。 少なくともコロナ以前の状態までは戻らないんじゃないかと。

それは投資の対象になったからだし、趣味の人口が増えたからだし、何より富裕層とそれ以外との差が広がってきていて、 富裕層間でトレードされていく限りは下がりにくいんじゃないかと。投資目的か、あるいは富裕層が購入する個体は状態の劣化も緩やかでしょうし。

時計に限らず中堅層~富裕層まで巻き込んでいる間は値動きが大きいんですけど、上に抜けちゃうと、上の価格で安定しがちなんですよね。 それこそコロナや戦争のような大きな切っ掛けがあればまた動きがあるんでしょうけど、しばらくは落ち着くんじゃなかろうか。

正規で売る側、作る側のことを考えても、投資の対象とはなりえないが、少数限定生産の時計は、製造したところで価格を下げにくいでしょう。 製造と物流コストは確かにかかるわけですから。

あと、昨今の経済情勢を見るに、貴金属の価格がシンプルに高いです。そうなると貴金属を使うタイプの時計は、価値が下がりにくい。 プラチナ、金のモデルは価格の変化が小さいように推察しています。

もし安価なものが出てくるとすれば、過熱ムードに中てられて高額な時計を買ってしまったが、その後の維持が難しくなった方の時計、とかでしょう、きっと。 あるいはシンプルに今現金が欲しい、以前から時計が好きだった人の個体でしょうか。

中古価格は下がりそう

※「投資対象でない時計」が前提です。

あまり狙わない時計は、状態の良くない中古です。元よりそういった時計は避けるでしょうけれども、中古にしては価格が高い状況にあるように見えています。 これからまだ下がるでしょう。状態が良い中古で納得のいく価格の物があれば話は別ですが、中古の相場は執筆時点でまだ高い状態だと思います。

新品、中古を問わず、二次流通に乗っている100万~200万円に届かないくらいの価格帯にある時計が一番難しいです。 急騰したときほどの過熱した雰囲気はなくなっていますが、価格が安定せず、まだ価格が動きそうです。

そう見えている理由は「高騰しているときなら売れたであろう価格で売れず、在庫が残っている様子が見える」ことにあります。 一般に、市場が活発な時期はサイクルが早いんですが、そのようなサイクルが見られないです。

他方で、一部の人気モデルが、比較的安価な場合には、売れるか、あるいは商談中のステータスに変化していることが多いです。 つまり、ある程度人気のモデルであっても割高感がある場合は、在庫になっています。

恐らくですが、比較的高く仕入れてしまったので、利益を出すには値を下げにくいし、 その価格のままにしていてもアクセスや問い合わせがある、といった状態にあるのだと推察しました。 まだ薄っすらとした熱があるのでしょう、買い手の私の目線からはそう見えます。

人気モデル以外の在庫を抱え続けても、市場に出回る新製品や、新品、人気モデルと比較して相対的な価値は下がるだけなので、 一般的には緩やかに価格は落ちていくと思います。

また執筆時現在の情勢ですが、マスク着用を推奨する流れは日本国内においても落ち着いてきているので、 旅行需要なども加味して、やはり二次流通は緩やかに落ちるんじゃなかろうか、と推察しています。

相場を見る

個人的な中古相場の確認方法の1つとして、同じモデルだけではなく、1つ前のモデルや、同ブランドの他の時計、同価格帯の他の時計の価格を見るようにしています。 特に市場の流通数が少ない時計については、それだけを追っても、その価格がどれくらいが適正か判断しにくいからです。

※個人的な、とは書きましたが、一般論だと思います。

例えば数年前にリリースされたモデルの中古相場が50万円くらいなら、 1年前にリリースされた同じようなモデルの中古価格が60万のとき、「お得」か「そんなもんか感」がありますよね。

数年よりも以前にリリースされた時計であるなら、その中古価格はなおのこと安定していそうです。 その価格から、欲しい時計の価格が適正かどうか判断します。

もしこれが80万円とか90万円とかだと、いくら正規価格が100~120万くらいでも、まだ下がるだろう、と見るわけです。

もちろん自分が欲しいと思った価格が一番適正ではあるんですけれどもね。

結局正規のロレックスがいいと思う

もし「今始める」なら、結局は正規のロレックスから入るのがいいと思います。 懐に余裕のある方は好きにするのがいいと思いますが、気になっている物にロレックスが含まれるなら、私はロレックスをお勧めします。

理由はいくつかあります。1つ目はシンプルに打算で、リセールバリューが高いこと。 万が一、腕時計使いこなせないとなっても、売却時に多大なダメージを受けずに済みます。

もう一つはタフで壊れにくい(とされる)時計が多いことが理由です。 実用時計の範囲では最高峰の時計ですから、"多少"雑でもいいのがうれしいところです。

オーバーホール(定期点検)周期も他社の物と比較して長いですからね。コスト面でも理があります。

最後に、正規ブティックでの購入を目指すことです。 ご存じの通り、3年前~執筆時現在まで、正規ブティックでは買うのが困難な状態です。私もそうでした。

何度も通っていく内に腕時計に対する熱が冷めれば、お金をかけずに済みます。 率直に言って高いものですし、趣味の範疇で収まって、実利のある人はほとんどいないでしょう。 積極的に勧められるものではないと思っています。

他方でコンコルド効果よろしく、正規ブティックで購入できた時は、その時計に対する愛着は一層でしょう。 なので、どちらに転んでもいい。1本目だしと遠慮せずに、1本目からロレックスを目指す価値はあると思います。