デロンギKG79Jは基本的には勧めない

デロンギのコーヒーグラインダー・電動ミル「KG79J」を写真の通り汚れてしまうくらいには長らく使ってたんですが、個人的にはあまり勧められる機材ではありません。 臼式かつ電動としては比較的安価な部類で、四角く整えられたルックスから選んでみました。ところが私の利用シーンにおいてはあまり良い製品には思えませんでした。

ルックスで言うと、ケース上部の蓋がこれだけ大きく上方に突出する必要はなかったのではないかと思います。 他の製品のデザインを見ると、豆を弾き飛ばしてしまう都合で大きめにとっていたりします。 あるいは多くの豆を頻繁に挽くためにグラインダーの中に豆を多く入れておく、などの場合にこのデザインは有効な訳です。

ところが価格帯から分かる通り明らかにプロフェッショナルユースの製品ではないわけです。 粉を挽く精度についての詳細を定量評価はしていませんが、その後に購入した高性能を売りにする手挽きのミルの方が、素人目には精度よく揃って見えます。

もし家庭が大人数で、一度に大量に挽く、頻繁に誰かが豆を挽いて飲む、なんて場合には大容量が利便性を増すかもしれませんが、そういった家庭は多くないでしょう。 (もしかしてデロンギが本社を置くイタリアではそうなのかも)

豆を保管するにしても特に日本においては入れっぱなしよりは別途で管理する方が長持ちするでしょうし、 早めに消費しきれない豆をグラインダーの中に入れておく積極的なモチベーションはないハズです。 そこで手を抜いて楽をしたいなら、そもそも豆を挽く工程をスキップしたほうが良い。

そうした経緯から、蓋部分はもう少しデザインのしようがあったのではないか?と思いました。 他方、蓋を閉めないと電源が入らない仕様などは大変良いと思います。

整理すると、頻度高めに、かつ一度に多くの豆を挽く必要があり、ハンドドリップがメインで高精度を求めるではなく、比較的に安価であって欲しい、 なんて複雑な条件の方には刺さると思います。もしそうでなければ、手で挽くハンドミルの方やより安価なミルを検討する余地があります。

さらに、まだ個人的にネガティブに思うところがあります。

写真はちょっと見えやすくしているものではありますが、引いて出てきた粉は、静電気によって、内部や出入り口、粉受けに付着しやすいです。 そして粉受けの下はコの字にくりぬかれているので、粉受けを外した瞬間に下に落ちて汚れます。

コーヒーの粉なんてそもそも散ったり作ってる間に周辺は汚れる物だろ、 という考え方が前提にあるのであろう割り切ったデザインとして見ることはできますが、 私にとってはこの仕様、デザインは良くありませんでした。

そこで高低差を低く保とうというモチベーションのデザインなら、そもそも蓋を低くしたほうが良い。 4杯分くらいならそもそも回転機構部分まで高さを削ってしまっても恐らく問題ありません。 ※これについては削ったりして検証したわけではないので、確かなことが言えません。工学的な問題が含まれる可能性があります。

パッとバラせる部品数は少なめ、粉受けと蓋は兎も角として、歯はグラインダーの上からねじ式のような形で外れます。

外した様子がこちら、小さく硬めの筆で掃くなり、ダスターで吹くなりの清掃しかできないです。 粉が溜まりやすく、湿気が多めの環境ではカビなどの発生に気を使う必要がありそうです。

バラせる部品点数が少ないことは、翻って故障のしにくさや素人の安易な扱いによって復旧不能になる事故の回避などに有用です。 一概に悪いとは言えないです。ただ、掃除はしにくいです。

全体的に軽量で小さめなので、掃除しやすい場所に持ち運んで粉を挽き、掃除する、といった形の運用が丸く収まりそう。

総じて、私の主観では、持ち運んで利用するなら掃除がしやすく、汚しにくく、精度の高い手挽きのハンドミルがよいです。 入れる頻度も極端に高いわけではないですし、コーヒーを豆から挽いて飲む程度には拘るのであれば、他の製品をオススメしたい、中途半端なデザインの製品に思います。