賃貸のインターネット設備の確認法と改善策

リビングのイメージ。

完全に自業自得ではあるんですが、新たに入居した物件が光回線ではなくVDSLでした。トラブルの経緯と対策、対応策についてここに記録を残します。

管理会社・不動産屋の専門家を信用するな

今回ハウスメイト管理物件をお借りしたんですけれども、彼らの物件の設備情報は別途のハウスメイトマネジメントなどが管理しています。 大手ならではの業態というか作業分離で、それは戦略的に良いと思います。

しかしながらこのハウスメイトマネジメントが賃貸物件やマンションに関するプロフェッショナルであるかといえば、全然そんなことはありませんでした。 物件設備を管理するという名目で運用されているにもかかわらずです。

他にも多様な問題があったことから酷評しているのですが割愛して、ここでの主題はインターネット回線についてです。 専門業者である、通信設備専門の人間であるという紹介を受けて電話でやり取りしましたが、 ここで私が相手を信用しすぎましたし、より詳細に問い合わせればよかったという自業自得をやりました。

「マンションは光回線ですか?」の問い合わせに対して「はい、対応しています、フレッツなどがすでに導入されています」というように応答を受けましたが、実際にはVDSL(電話回線)でした。 家賃も土地相場から比較すると高い部類になり基本的には単身ではなく家族層が利用するマンションですから、完全に盲目でした。

VDSL(電話回線)って何?

VDSL は電話回線を経由する通信形態です。VDSL がなぜ問題になるのかを解説しておくと、 VDSL は 100Mb までしか通信速度が出ず、昨今である程度の価格帯・新しい物件では、その 10 倍の 1000Mbps=1Gbps が一般的と言って差し支えないです。 またこれらは理想条件下で起こりえる通信速度で、実際にはもう少し速度が低下します。

さらにマンションタイプ特に高層階や世帯数が多いところでは、共通の回線を分散して各家庭で使うことになる場合がほとんどです。 4K だ 8K だ、Netflix だ AmazonPrime だ在宅ワークだ言う時代に 100Mbps までしか出ないのは流石に苦しい。

30Mbps 程度あれば"一般的な"オンラインゲームや動画の視聴に問題は起こらないとされていますが、 マンションなどの集合住宅で専有の回線でない場合は、ユーザの多いピークタイムには注意する必要があります。 つまり利用者が多くより分散される状況になると著しく速度が低下するのです。 ※ゲームについては80Mbpsとか要求するものもあるようで。

また動画や写真、業務ファイルなどのアップロード作業がある人はかなり苦しい状況になります。 雲泥の差と言って差し支えないでしょう。ライブ配信とかやりたい人もかなり苦しい(画質を絞ったりピークタイムを避けるなどする必要が出てきそう)。

VDSLで十分な人

物件の他の条件が良いから、通信さえできれば VDSL でも十分です、という人もいるでしょう。 例えば映像視聴はテレビがほとんどで、あとはスマホしか使わない、なんて場合はそもそも固定回線を契約する必要がありませんね。

映像視聴するにしてもスマホやタブレットなどがメインで画質にこだわらないのであればVDSLでも十分"かもしれません"。 断言できない理由は、マンションなどで通信を分散して利用するタイプの場合、他の人の利用の程度によって、 どれだけ解像度が低くても動画の視聴そのものが苦しくなる可能性があるためです。もっとも、そのような場合は昨今の一般的なWebページを開くのも苦しいですが。

VDSL でもよさそうだったけど、結果 VDSL で満足できませんでした、なんて場合は、後半に速度についての対応策をいくつか紹介しています。

ただ前提として、できれば早い方がいい、VDSL だけど常時 70Mbps, 80Mbps とか出たら嬉しい、なんて考えている場合には VDSL 物件を選ばない方が良いです。 リスクが高すぎます。

VDSL だけど専有回線というケースで、写真や動画のアップロードはほとんどしないよ、なんて場合には何も問題なく動画の視聴などはできそうです(断言はし難いですが)。

なぜVDSLを光回線と言う問題が起こるのか

これは通信業者も不動産管理業者も非常に良くないビジネス形態だと思うのですが、"素人"が勘違いしやすい仕組みができているのです。 それは VDSL 回線であっても途中までは光回線として扱われるし「光~」というサービス名になります。 しかし、マンション引き込み時に電話回線(VDSL)になれば、物理的に通信速度を制限されることになるのです。

サービスと通信速度の違いについてはso-netさんの情報が見やすいです。 プロバイダ(docomo, ocn, so-net, GMO, etc…)がどこであっても、物理的な回線が変更されない限り、 対応可能な通信速度は変わりません。

部屋を変わらないのか

そもそも入居が確定して回線契約を結ぼうとしない限りこの問題は発覚せず、仕事や引っ越しのスケジュールを考えたら別の部屋を探すことは不可能でした。

家賃交渉のしようも考えたのですが、録音データを維持していないため、言った言ってない論争になるのは不毛だし、 これから一定期間とはいえ関係を持つ人間と入居もしていない間から喧嘩するのは不毛です。 長期的に見て不利益になるし、最低限使えることに期待して泣き寝入りです。戦うだけの情報と用意がある人は戦ってもよいと思います。今では生活必需品と言って差し支えないですからね。

以降は考えられる対策と対応策です。

賃貸物件の通信設備の確認・問合せ方法

1.「光コンセント」があるかどうかを確認しましょう。光コンセントは直接光配線が届いている証明になります。電話コンセント、電話線しかなければVDSLである可能性が高いです。

2.「最大通信速度」や「契約できる光プラン」について問い合わせしましょう。具体的にこういうサービスを契約したい、と明示すれば対応可能かどうかは調べてもらえると思います。 あるいは1Gbps契約できるかとか、今どきは2GbpsとかもあるNuro対応できますか、とか。

3.会話は録音するか、記録の残るメールにしてもらうか、対応者名も必ず残しておきましょう。あとで戦えないです。今回でよく学びました。早速その他の設備不良のときに生かしてます。

少しでも速度問題を解決する方法はないのか

速度テストの方法を覚えておく

まずは速度テストの方法だけでも覚えておきましょう。「通信速度テスト」などで検索すればいくらかサービスが見つかります。 下記のURLはNETFLIXが提供するものです。

必ず「詳細を表示」からアップロードの速度も確認しましょう。多くの通信速度テストサービスがダウンロードの方法だけを先に表示する傾向にあります。

重要なのは日時や時間帯を変えて繰り返し計測することです。特に夕方~夜間、休日・連休は利用者が増えてこれらの数値が大きく低下することがあります。 (コロナ期間中のWiMaxの連休ピークタイムはそれはもう酷いものでした)

専有回線を引き込む

光回線を引き込むように物件管理担当に確認するなどしてみましょう。 マンションであっても低階層で、電柱が近く、対応エリアであれば Nuro などが専有で引き込める場合があります。 マンション全体が対応していなくて、占有を引き込めると速度面ではかなりの効果が期待できます。※ただし価格はマンション用でなくて戸建て用になる。

ただし外壁工事などを伴うので管理者(大家など)に確認をする必要があります。 Nuro は高層階にも対応するようになったと公式に発表がありますが、やはり設営条件がかなり整っていないと苦しいようで、私の場合は引き込めませんでした。 問い合わせするだけしてみるのは良いと思います。電話サービスの対応は良い印象がありました。

マンション全体で光回線を導入するようにお願いするのは結構大変だと思います。大規模工事になるので。 そもそも壁に配管を通して埋め込んである場合は実質的にできないものと考えてよいでしょう。

IPv6対応のプロバイダと機器を選ぶ

IPv4とIPv6の違いについてはここでは割愛します。 端的には車線数が2つとか3つとか限定的な道(IPv4:PPPoE)と、車線数が無数にある道(IPv6:IPoE)と、 どっちが混雑しやすいかという話です。どちらの場合も速度制限(100Mbpsとか)はあるわけですが。

「光~」と名の付く契約ができる大手プロバイダではほぼ対応されていますが、IPv6対応のものがよいです。 このときルータなどの機器もIPv6に対応する必要がある点に注意します。

ルーターは通信事業者からのレンタルではなく自前で用意する方の機器です。 LANケーブルを指したりWi-Fiなどの無線を飛ばすそれです。

話が分からないときは「IPoE方式」「IPv4 over IPv6」に対応しているかを確認してもらいましょう。 なお現在の接続方式がどういうものであるかは、下記のOCNのサイトなどから調査することができます。

WiMax や docomo Home ルーターなどの無線機器を検討する

WiMaxやdocomoのHomeルーターなど、高速回線を売りにした無線接続提供サービスを利用するのもよいと思います。 無料で機器を借りて検証できる期間などがあるため、引っ越し時にそれを利用して速度がどれくらい出るのかを確認しておくのが良いと思います。

私の場合、固定回線が開通するまでの間にWiMaxルーターを無料でお借りして速度検証し、固定回線と比較する目的がありました。 VDSLであることが分かっていたので、もしかしてWiMaxの方が速い可能性があったためです。 WiMaxのダウンロード最高速度は1.0Gbpsを超えてきますから、最高速が安定して得られるなら、選択肢に上がるでしょう。

注意するべきなのは対応エリア、建造物の干渉、ピークタイムの速度です。まず期待する速度が出る対応エリアに入っているかを確認する必要があります。 この時点でレンタルするべきか否かの判断ができます。

レンタルできたら、次は建造物の干渉によって接続が上手くできなかったり速度が低下しないかを確認します。残念ながら対応エリア内でも十分に速度が出ないことはあります。 私の場合はこれに相当しました。

また「ピークタイムでの速度計測も必要」になるので、レンタルするときは休・祝日か、可能なら連休などを挟めるとよいです。 大体18時以降~25時くらいまでは十分な速度が得られなかったりします。

テザリングが優秀かもしれない

スマートフォン・携帯電話の大手キャリアなどではテザリング機能が使える可能性があります。 テザリングとは、スマートフォンを無線ルーターとして扱う機能です。ちょうどWiMaxなどでHomeルーターを借りるのと同じようなことができます。

経験上、最大速度は大きくないものの安定した速度を得られ、ピークタイムによる影響を大きく受けにくいように思います(私はdocomoを利用、環境と契約内容に依存します)。

問題はスマートフォンの通信と同じ通信経路なので、通信容量はスマートフォンで契約したものが上限になります。 大量通信のために速度規制を受けると、スマートフォンも、スマートフォンからテザリングで接続した機器も速度規制の影響を受けます。 またバッテリーや端末の移動の問題もありますね。

自宅ではあまり仕事しない、動画はスマートフォンで十分、みたいな状況ならわざわざ固定回線や無線機器の類を契約しなくてもよいかもしれませんね。

ダウンロードだけならJ:COMがありえるかも

私の物件が特殊環境下であることから必ずしも言えるものではありませんが、賃貸がJ:COM契約に対応している場合に、 ダウンロードに限り100Mbpsを超えた契約ができる可能性があります。ただしJ:COMのアップロードは100Mbps未満であるものが多いので、 動画の視聴などダウンロードに限る場合にのみ、活用できる可能性がある、といったものになります。 あるいは、もしかして早くはないが、アップロードもある程度の速度で安定する可能性はあるかもしれません。※個人的にはナシ。お金を出してでも早い回線が用意できる方が良い。