0.8mmと0.4mm大流量ノズルのレビュー
プリント時間を軽減するために0.8mmと0.4mm大流量のノズルを買ってみました。どちらにしても一癖二癖がありますね。
このページ記載の印刷はいずれもPLAです。注意情報として冷却性能を有効にしない状態で印刷しているので、その辺がどう影響出るかは今後の検証次第といった所です。 あとはシビアなキャリブレーションもかけられていないです。
フィラメントはよく乾燥させること
いずれのノズルにも共通で言えることは、フィラメントの乾燥を入念にする必要があるという点です。
0.8mmや0.4mm大流量ノズルのように、一度に大量のフィラメントを流し込む都合、 乾燥が甘い場合に起こる糸引きや気泡による凹凸が出やすいことが分かりました。
これは追加の乾燥を施さずに後に通常の0.4mmの標準ノズルでプリントした結果を見ても明らか。
印刷している時点ですぐに気が付きますね「あ、印刷面がぼこぼこしてる」と。
0.8mmノズルは誤差が大きく見える
大前提として、0.4mmよりも細かく印刷できないわけですから、印刷ピッチは0.8mmの方が大きくなり、積層痕はより粗く、見えやすくなります。
その上で、当たり前ですが0.4mmの物と比較して誤差が大きくなるように見えています。誤差とは積層痕の段差に現れます。 0.4mmの時に見られる誤差と比較して、周囲に0.2mmのズレが起き得るんだから、それはそうって話ですよね。
フィラメント同じ条件で、より大きなサイズを0.4mmで印刷したときの表面がこちら。 まぁ確かに乾燥が甘い状態で印刷してしまった感覚はありますが、それでも雲泥の差ですね。
個人的には0.8mmを使うシーンがあんまりないように感じられるんですが、もし使うのであれば次のような条件かなと。
- 印刷サイズが大きい
- 幾何学的な構造で直線的ではなく、有機的で曲線が多い
- 精度はあまり求めない(1mm誤差を許容するレベル)
- 積層痕を気にしないか、後で研磨することが前提である
- 少しでも早く印刷する必要がある(研磨にかかる時間etcは考えない)
- いうても商業目的くらいしかないかなと思います。
結構シビアですね。上から塗装をかけるような部品、コスプレ用なんかの部品、 大きなサイズのプロトタイピング、ってシーンには有用かなって感じです。
0.4mm大流量ノズルは誤差が小さいが
こちら先とほとんど変わらい条件で、0.4mm大流量ノズルで印刷した結果です。積層痕に見られる誤差は0.8mmと比較してかなり小さく表層はかなり綺麗ですね。
とは言えやはり大流量だと熱ムラからなのかエッジ部分に糸や乱れが見れらます。
まぁ一度に大量に流入させるということはそれだけ気泡などが発生する余地があるというわけで、 ただでさえ通常の0.4mmでも起こるのだから、そら起こるんだろうな、というプリント結果が得られました。
それでも0.8mmよりはマシ、時短の目的なら0.8mmノズルよりは0.4mm大流量ノズルの方が使えそうです。
と、思うじゃないですか、印刷時間を比較してみましょう。
印刷時間のギャップ
これはプレートホルダーを印刷したときの記録です。
大きいサイズほど時短の効果は出るし、基本的には求める精度は甘くなるので、こういった造形物が使いどころかなと思います。 まぁ0.4mm大流量に関しては平時にも使ってよいのかもしれないですが。
- 0.4mm:3時間39分
- 0.4mm大流量:3時間09分
- 0.8mm:2時間10分
推定印刷時間の差は見ての通りです。0.4mmのノズルを大流量に切り替えたときの印刷時間は大体、元の時間の86%くらい。 30分あればプレートが冷却されて剥がしやすいでしょうから、まぁその分の時間短縮といった所でしょうか。
代りに気泡や糸の発生するリスクが大きくなることを許容してまで採用する価値があるかはちょっと怪しい。 十分乾燥した後に印刷しまくるなら積み重ねでアドバンテージは得られますけどね。
他方で0.8mmの方ですが、元の時間の6割程度です。結構インパクトありますね。精度を極端に求めない場合はかなり有用だと分かります。
改めてですが、大前提に十分に乾燥させたうえで、大きなサイズを印刷するなら、結構有用、 それ以外の場合は、品質・精度を考えると積極的に採用する理由がないんじゃないかな、と思うんですよね。
2時間かけてフィラメント無駄にしながらエラーにならない程度に乱れた結果が出てくる、とかだと結局やり直しちゃいませんかね。 使いどころは見極めるべきだと思います。
あと後から知ったんですが、推定造形時間はノズルの実物が無くても、 BambuStudioから確認することが出来るので、自分が印刷したい物の時間を確認してからが良いです。切に。
