RROTEX FPZ-07を機内持ち込み機材用としてレビュー

バックパックにPCを入れて長時間移動すると肩こりが酷いので、 重量を逃がす目的で、機内持ち込み可能なスーツケースを購入しました。購入したのはPROTEXのFPZ-07です。

全体の造りがリジッドで大変良いです。チープさは一切ありません。ルックスも好きです。 ただ"私の"ユースケースからは、正直に、現時点では可もなく不可もなくって感じです。

PCが入るフロントポケットにはダイアルロックがついています。PCが入るところなのにジップが止水じゃないのが勿体ないなとは思います。

PCの他には書類などを入れておけそうですが、同じく水に弱いだろうことから、この部分の設計は、強固を売りにするスーツケースとしてはいまいちかもしれません。

他方で、単にアクセスのしやすいポケットと考えると、強固さと利便性とをどっちも取りに行った感じですね。 強固に守る必要があるものはメインの収納に入れてくださいねと。止水ジップは開閉しにくいですし劣化もありますしね。汎用性はこの設計が良いのかもしれません。

公式は13インチとしていますが、一般的な15インチのフットプリントのPCまでなら入りそうです。

余談ながら「一般的な」はMacBookを基準にするのがいいと思います。 私の今の業務用のPC、その一般的な数値から離れていて、15インチでも入りませんでした。悲しい。

もちろん実際に購入しようと思ったら、きちんと図ってください。

PCケース部には他にメッシュのポケットがついてるので、ケーブル類は入りそう。 ただACアダプタは物によっては入らないですね。厚みのあるマウスも難しそうです。 無理くりねじ込むとPCの天板か同じく入れた機器類に圧がかかると思います。

ここの設計もちょっと中途半端に思います。が、よく考えたら一般的なPCはACアダプタとかも小さいんだよな…。 私のユースケースに沿わないだけかもしれないです。

このフロントポケットですが、メイン収納と一体になっています。つまりメイン収納側に一定量凹みます。 逆を言えばメイン収納側に荷物が多く内側から押せば、フロントポケット側に圧がかかります。

ポケットが浮いているのは非常に良いですね。振動の影響を軽減できます。ポケットにはクッションも入ってます。これもグッド。

フロントポケットですがジップなので当然(少し)押し込めます。先の通りメイン収納側に押し込まれますから、 メイン収納側に荷物が多いと、PCは間に挟まれて圧がかかります。

まぁ手で持って移動する想定の物ですから、気にしなくてよいのかもしれないですけど。 例えば移動先で車にスーツケースを詰め込むときに、荷物の重なり順や、天地を考える手間を考えると、安心材料がありません。

で、こうなってくると、このスーツケースの売りである強固さについて、やっぱり中途半端に感じてしまうんですよね。

続いてメインの収納。まずは側面。ダイアルロックではなくキーロックです。 「わざわざこのケースに入れるもの」の収納部なので、ダイアルロックほど簡単なものではなくキーロックである、というのは合理性があると思います。

また、かなり強固なフレームタイプなので、メイン収納に関してはかなり安心感があります。この点については製品の売りの通りです。素晴らしい。

側面の持ち手部分ですが、強めのバネが仕込まれていて、バタバタと遊ばないのも好感触。上部についている持ち手も同じ。

シンプルな機構ではないので破損リスクがあるかもな、とか思いましたが、 折りたたまれている状態が維持されている方が、運搬中の破損リスクは少ないと思います。素晴らしいです。

メインの収納は大きくないです。フロントポケット側の収納については先の通り、 入れすぎるとフロントポケットを圧迫します。PCをフロントポケットに入れないなら問題なし。

ハンドル側についてはハンドルのフレームがせり出してきているので、 外観から想像できる容量よりは少ない容量しか入らないと考えた方が良いです。 (この製品に限ったことではありませんが)

タイヤの出来も良いと思います。強固で安心感ある。時折検討に行くTUMIのブティック店員さんなどからも話を聞きましたが、 ロック機構のタイヤは今は減ってるみたいですね。どうしても破損リスクが高いと。

一般的な話ですが、2輪より4輪の方が良いような気がしています。2輪+足だと停止させることが出来ますが、 他方で2輪の内の片方でも破損すると運搬が困難になるからです。4輪あれば破損の組み合わせ次第では移動可能な余地がかなり残ります。

また4輪設置状態で運んだ方が圧力は当然分散されるわけで、これも破損リスクの軽減につながります。やろうと思えば2輪設置状態で素早く運ぶこともできるし。

結局のところ、露出していて、稼働する部位で、圧がかかる、タイヤは破損しやすい訳ですから、個人的には4輪最強かなと思います。 電車とか乗るときどうしてもタイヤ固定させたいとか思っちゃいますけどねー。

やや余談ですが、多くのショップの方が「タイヤか、伸縮ハンドルがよく壊れる」と言いますね。 ハンドルの故障は歪んで出せない、納められない。 そう考えると、ボディに関してはどこのメーカー・ブランドも一定の強度があるのかも。

素材が大変良い

素材は強靭でグッドです。破損の不安感が皆無。シンプルなプラ系やアルミ系よりも変形しにくく、傷がつきにくく、汚れも取りやすいと思います。

「他の物を傷つけそうにない」のもグッドです。安いアルミ系のスーツケースとかだと傷つける恐れがあるんですよね。 あと擦ったときにキーと嫌な音が鳴る。これがシンプルなポリ系だと相手は傷つけなくても内部や自分が傷つくんですよ。 総合的に見て、素材と基本形状は素晴らしい出来だと思います。

ところで私は布製使わないんですよ。微小な生物を連れ帰る可能性があるためです。 連れ帰ったところでその生物が環境適応して生き残れる可能性の方がはるかに低いわけですが、 少なくとも注意しようという心が私にはあります。

具体的な例だとノミ・ダニですね。日本のダニでもチラホラと死亡例はありますが、ダニは危険性高めに考えています。

布製にしたって最近の物はかなり編み込まれているので、実際は気にするほどじゃないんですけどね。 軽いし擦れはするものの破断には強いので、素材としてはかなり優秀なんですけど、過去に使ってきたものから考えて、ほぼ気持ちの問題です。

泥とか被ると砂が入り込んだりするんですよ、なんやかんや。あと内部を守るにはやっぱり変形しがちなのです。

重量がギリギリかも

このケースでなくてもよかったかもな、と思っている最大の理由が重量です。国際線における機内持ち込み重量は10kgに設定されているものが多いです。

このケースの重量は4.2kgなので、最大容量28Lに対し、5.8kgが詰め込めます。私の職業で持ち運ぶPCはいわゆるゲーミング系のPCなので、重量がそれなりにあり、 本体は2.1kg程度、ACアダプタが0.7kg程度です。概ね3Kgとすれば、残り2Kgくらいしか入らないです。

私の場合は別途持ち運ぶスーツケースに入れてしまいますが、 ここにキーボード、マウス、ケーブル類を入れると残りの2kgはほぼ限界になりますね。

他の選択肢として考えられるアルミ系フレームタイプのスーツケースだと、もう1kgくらい軽いです。

どうせ機内持ち込み用だし、PCは別途専用のケースに入れて持ち運ぶから、スーツケースの強度はいいや、って考えるならポリ系のスーツケースも選択肢に入ります。 で、私の場合はポリ系のスーツケースでもよかったかもなと。内容量を重視で。

なぜかというと預け荷物の重量って、最悪超過してもお金で解決できるんですが、機内持ち込み(手荷物)の重量がオーバーすると、お金で解決できないケースがあるんですよ。 預け荷物は預けちゃってるのでそっち移せないしで、手続きも対応も大変面倒です。

だもんで、持ち込みは軽いもので、は対応必須だったなぁという点が後悔点。 むしろ預け荷物の方が乱雑に扱われるので強固な方が良いのでした。私は逆に買ってしまったので本当に失敗したと思っています。 ※ただしこれは製品の出来の良さとは別。

なおJetStarでは7kgまでで、追加料金で重量マシできますが、7kgで合わせようとするとかなり厳しい。

サイズがギリギリかも

公式に預け荷物対応のサイズとされていますが、実は結構ギリギリかもしれません。 なぜなら国際線にしてもサイズの規定が運営会社によってバラバラだからです。

100席以上の飛行機では、3辺が115cm以下に対応します。このスーツケースは52.0 × 36.5 × 24.8で113.3cm、ギリギリです。

あるいは、115cmの制限とは別途で各辺の最大長が定められていて、それぞれ55.0 × 40.0 × 25.0 cm以内などの規定があります。 これについても結構ギリギリ。

で、先にJetStarを例に挙げましたが、JetStarだけではなくて、国外に出た時に対応していない場合なんかがざらにあるんです。これは重量・サイズ共にです。

例えば有名どころではユナイテッド航空ですが、56.0 x 35.0 x 22.0 までが対応範囲です。今回のスーツケースは奥行きも幅もアウト。 まぁエコノミークラスだからってのはあるんですが、だってエコノミー使う人いるでしょう?(私もそう)

他にもエールフランスは35.0 x 25.0cmだったりしますし、あと中東・中国系は重量もサイズもかなり小さいです。7kg制限だったりします。滅茶苦茶厳しい。

だもんで、PCと機器類運搬用と割り切って、そのための最小サイズのスーツケースにし、あとは預け荷物にする、という選択を取らなかったの失敗だったかもなぁってなりました。

今回は有楽町の多様なブランドのスーツケースを扱う店での店頭購入しました。 だもんで、それなりにスーツケースを売ってきた人たちの話を聞きながら購入したんですが、 やっぱりこの辺の情報は知らない方が多かったですね。ビジネスマンより旅行客の方が多いでしょうし。無理もないんですが。

話脱線すると、以前案内してくださったTUMIのスタッフの方は国際線事情にもかなり詳しかったんですよね。 プライベートで旅行を多くされてるスタッフの方を見つけられると、滅茶苦茶参考になるんですが、なかなかそういう人には当たれず。

PROTEXさん、この辺の問題解決した特化型作ってくれないかなぁ、難しいか…。汎用性がなさ過ぎて売れなさそうだし、 どうしても剛性と重量はトレードオフの関係にありますしね。

総じてユースケースを考えよう

ユースケースをもうちょい考えればよかったなぁというのは私の反省として、 PROTEXさんのスーツケース、造り自体は非常に良いものがあります。剛性の必要な人にはお勧めできます。 メインの収納に収まる範囲で重くて重要なものを持ち運ぶ人向けですね。