初心者なりにTaylorギターを選んだ経緯
2020年、コロナをきっかけに、高校生ぶりくらいにサイレントギターを買って遊んでたんですが、 やっぱりボディが欲しいなとなりTaylorギター812ceを購入しました。紆余曲折あるんですが、購入理由をまとめておきます。
Taylorにした理由
私は身長の割に手が女性並みかそれより小さくて、しかも生まれつき薬指があまり曲がりません。 右手に至っては骨折に伴うマレット変形があって、要するに細かい制御ができません。
なのでナット・フレット幅は広く、弦長は短くて張力を小さく、っていうギターが理想的でした。 プレイスタイルは兎も角として、そうなると候補に挙がるのはソロギター用のギターになってきます。
ブランドとして候補に挙がるのは Morris, Furch, Taylor, Asturias, Naga, Maton あたりでしょうか。
で、Taylorにした理由なんですが、いくらかあります。 まずは単純に見た目が好き、カッタウェイやインレイの様子が好きなものが多いんですよね。次点でエレアコであること、 PC入力にして遊ぶ日が来そうだな、という思いがあるのと、いつかルーパーとか使ってみたい。
あとはメーカー推奨で弦を張りっぱなしにしてください、というのが個人的には重要で、 いつでもパッと手に取ってパッと触れるじゃないですか。もちろんチューニングはズレてきますけども。 ボルトジョイントというねじ止め式のネックも、ギターの保守がしやすいと思ったんですよね。 端的に言えば耐久性能の高さが魅力だなと。そういう訳でTaylorが強く候補に挙がってました。
他に弦長が短くてボディも小さくてというのを満たすギターもそんなになくて、ましてカッタウェイだと余計にないんですよね。 カッタウェイ使うほどハイポジションを弾くかと言われるとそんなことはないんですが、見た目が好き。ただそれだけ。
812ceまでの経緯
詳細は割愛しますが、Taylorギターは型番で木材や形、グレードを表します。100の位が基本的な木材とグレード、1の位が形を表します。 1の位の値2はグランドコンサートサイズ(特にボディが小さく弦長も短い)を表します。
最初は312ceが良いなと思っていました。実質初心者なんだし安い112や212でいいじゃないか、 と思ったんですが、112や212はナット幅が狭い物しかなく、312からが広くなるんですよね。
で312を見ていくと、412や512のセール価格も目に入り、あんまり価格差がないな、となりました。 であらば、好きな物を探してみるかとなっていったのです。
候補に挙がったのは、412と中級グレードでありながら、高価格帯で採用されるローズウッドを使った特別モデル412RW, メイプルを使った612, あとは原点に返って312でした。
あれ812は候補に入ってなかったのか?というと、価格の都合で入ってませんでした。 ところがたまたまセール中で、たまたまビジュアルも気に入ったのに行き着いたのです。
木材差と個体差を知る
最初に試奏したのはサペレ材の312でした。このギターが大変良くて、とてもよく音が鳴っていました。 明らかに音が良い、素人ながらにでも分かります。圧倒的に違う。
次いで612、メイプル材のギターは2か所以上で別の個体を試したんですが、全然ビビッと来なかったんです。どちらの個体も同じ印象。 見た目だけで言えば木目もインレイも最高に好きなんですけど、あまりにも音が刺さらなさ過ぎた。
412RWは近場に試奏ができるところもなくて取り寄せする必要があって、 同じローズウッド材を採用していて見た目がより好きな812が試奏できたことから、候補から外れてしまいました。
812は見た目がよくTheアコースティックギターな音色で、セール品なら価格もギリギリ予算出せるところ。 実際のところ、ビビビと来た感動は大きくはなかったんですが、612と比べたら格段に良く、見た目も好きだし、 どうせならローズウッド採用モデルという一度は経験しておきたいところ、ということで812に決定。
まぁそれにしても未だに試奏の感動があった312は印象に残っています、私が最終的に手にした812よりも良く鳴っていたのだと思います。 価格は半分とは言わないものの、下位グレードには違いないにもかかわらずです。やっぱり試奏してみろなんですね、楽器って。
他に722というハワイアンコアを使った特殊なモデルも試奏したんですが、これもビビビと来てました。 残念ながら予算範囲外だったのと、インレイのビジュアルがあんまり好きではなくて、無理をすることがないな、となってしまいました。 が、音色は間違いなく一番好きだったんですよね。
後日になって同じハワイアンコア採用の別のモデルも2本ほど試奏したんですが、その時はビビビと来たギターほどの感動はなし。 木材差や個体差というのもを嫌というほど教えられたギター探しの旅でした。
簡単なコードしかろくに試奏できないド素人の私でも分かる程度の痛烈な違いがギターにはあります。
弦高調整へ
いくら弦長が短くとも弦高が高ければ弾きにくく、張力も高くなります。初めはPLECKという機械調整にお世話になろうと思ったんですが、 Taylorについては専門家が東京にいるということで、東京のArtistLoungeさんにお邪魔してきました。
全然存在知らなかったんですが、こちら予約すればかなりの種類のTaylorギターを試奏できるので、Taylorに絞るなら先に行ってもよかったかもしれないです。
というわけでいかにもプロフェッショナルなお店にドの付く素人がお邪魔して、弦高調整していただいたときの写真が上の物です。 ボルトジョイントのネックを外した様子、青部分の2か所のスペーサーを入れ替えることで弦高調整します。
残念なことに、私の購入した812ceは最初からかなり大きい数字のスペーサーが入っていたようでした。これは個体差があるので仕方ないです。 要するにこれ以上ネックが反ってしまうと、スペーサーでの調整ができなくなる、ということです。
また購入した812がセールだった理由は長期間在庫だったわけですが、ネックを止めるボルトが錆びていて、かなり良質な管理状態の正規輸入代理店だったとしても、 店頭管理だと錆びちゃうんだなと分かりました。まぁこれは運ゲーなので致し方なし。
分解した様子を見ていて面白いなと思ったのはネック側に刻まれた812の文字です。写真ではほとんど見えなくて申し訳ないんですが、 Taylorが自社工場でボディとネックとを別途制作していることが良く分かったのでした。 812用のネック、812用のボディを別のラインで制作して、それを後で組み合わせてるんだなと。
して余談が過ぎましたが肝心の弦高調整は上手くしてもらって、1弦側12fの25mmを14mm程度へ、6弦側12fの30mmを22mm程度へ落としてもらえました。
サドルの削りが一切ないのが素晴らしい、Taylorのエンジニアライクなギター作りの光るポイントですね。 試奏してから最終の封をしてもらって作業終了、公式代理店の購入記録と保証期間とがあったので調整費用は申し訳ないくらいに安く上がりました。
期待した通りに弦高は下がり、張力に至っては素人でも分かるレベルで下がったので、万々歳の調整でした。お見事の一言に尽きます。
お店の方たちもすごく丁寧に説明してくださったり、色んなギターを触らせてくださったりして、大変良いひと時でした。Taylorユーザの方は是非。
編集後追:サイレントギターとの比較
YAMAHAのサイレントギターの指板幅は43mm、弦長が634mmです。 TaylorGCは、指板の幅は44.45mm、弦長が631.8mmです。
812ceを購入してからサイレントギターを久しぶりに弾いてみると、サイレントギターの弱みが分かってきました。
音が鳴らないから適切に抑えられているか分からないし、強く握ってしまいがち、強くストロークしがちですね。 初心者に勧めるならサイレントギターはおススメしないし、エレキギターならアンプ繋ぎなさいってなりました。 (よく言われることですが、実体験として、身に染みて分かった)
編集後追:MORRIS SA-021 SA-021
ナット幅44mm、弦長620mmとフィンガーピッキング向きなアコースティックギターで最後まで候補に残っていたのでメモしておきます。
これでSシリーズみたいに、6弦側に弦がオフセットされていれば最高なんですが、流石にそこまでのコストを割くモデルではないのだろうな、と思いつつ、 いっそフィンガーピッキング入門用で尖ってしまった製品として出してほしい気持ちはあります。
編集後追:彩雲弦楽器工房
個人のギタークラフトマンの方がナット幅広く弦長短くのギターを出していました。浮雨シリーズは、 ナット幅44mm、弦長625mmです。こういう尖ったモデルは中々大手メーカーからは出てこないですから貴重な存在ですね。