3DプリンタのH2Dを買ってみた

BambuLabより発売されている3DプリンタのH2Dを買ってみました。

H2Dにした理由はいくつかあります。

まずはBambuLabのユーザ数が多いこと、一番市場が盛んでシェア率が高い製品であることが理由です。 過去にバイクの部品をオンラインプリントなどはしたことがありますが、それ以外の情報をほとんど持ち合わせていません。

なのでトラブル時に情報が広く得られること、故障や不調時にはサポートが得られることは重要でした。 また大きな製品ですし、保守部品やメンテナンスなども考えると、サポートは手厚い方が良いです。これは3Dプリンタに限った話ではないですね。

次点、安い物から始めるではなく高価な物に手を出した理由ですが、とはいえ家庭で使える程度の市販品で、 どういった物が、どの程度の精度が出るのかを知っておきたかったです。 将来的に、比較してどの程度の製品なのかを測る指標になります。これは「ガジェット好き」みたいなところが作用しているのもあるでしょう。

高度な物を買っても、最低限の取り扱いさえできれば、物足りなくて買い増しをする、なんてこともなくなりますしね。

その他のモデルとの比較

より安価な物を便宜上、下位モデルと称しますが、実際には下位モデルではないと考えています。

なにせ筐体の大きさと重量が大きく異なります。設置の自由度が異なるのです。 そもそも精度とサイズが不要なら小型で安価な物の方が適しています。

実際のところH2Dでなければいけない条件がないのなら、執筆時点で最近発売になったP2Sを強く推します。 P1Sは端的に言うとスペック不足だったんですが、P2Sは素晴らしいですね。

ノズルのクイックスワップが出来るようになったこと、エアフローが付いたこと、5インチタッチパネルが付いたことで、広くお勧めできるプロダクトです。 正直H2D買う前にこれが出てたらこっちを買ったかも。

A1/Miniは扱える素材に制限が付くこと、筐体が解放であることなどが注意点です。不用意に接触したり埃が入ったりってことを嫌うようであれば、 安価ですがおススメはできません。安価な物から学習したい、遊んでみたい、みたいな需要にはすごくフィットすると思います。

この両取りを維持できてるのがBambuLabの良い所かも。

H2D/H2S/H2C

執筆時時点ではまだ販売されていませんが、多色造形をやりたければ仕組み上H2Cというモデルが良さそうです。 単に多色にしたいだけならH2Dにする必要性はあまりないと思いますから、H2Cが高いよってことであればH2SかP2Sかな。

サポート材(補助用)ではない2種類の素材を混在で使いたい、みたいな需要がなく、単に大きいサイズをプリントしたい、 ならH2Sがおススメになりますが、正直サイズ以外のアドバンテージはないので、H2SとP2Sを比較する戦いが始まるでしょう。

本当に大きいモデルが必要なら組み合わせられるように部品を作る、という手もある訳ですし、多くの場合に、家庭ではP2Sが勝つんじゃないかなと思います。 製品として販売していきたい、強度が必要である、みたいな話があるならH2Sが来るかもしれません。

レーザー付きはどうなのか

最初はレーザーオプションを考えたんですが止めました。まず煙などの発生で3Dプリンタ側の機能を劣化させるリスクがあるというコメントを見たところ。 これは確かにそうだなと思いました。どうあがいたって煤がでますから、それが有害であれ無害であれ劣化は起こりえます。

2つ目はスペースさえあるなら外部に他のレーザーツールを用意した方が良いこと。まぁこれはそうとしか言いようがないですね。

3つ目はメンテナンスが煩雑になりそうなところ。まぁ劣化の話に等しいです。ただでさえ機能が多いので、レーザーまで合わせると管理がしきれそうになかった。

ただ私はあんまり真っ向から否定する気はなくて、たまにしか使わないなら省スペースでいいじゃない、というコメントの類に賛同しています。

なんでH2Dを選んだのか

改めてまとめると、別のモデルと比較してH2Dが良かったのはこの辺ですね。

  • 購入時点で大型のタッチパネルに対応していて操作性が良さそうだったこと(下位モデルだとより小さな画面でタッチじゃない)
  • 2種類の素材を混ぜて作れるもの、というのに興味があったこと(下位モデルだとフィラメントの切り替えに時間がかかる)
  • ノズルがクイックチェンジできること(下位モデルだと工具が要る)
  • 多くの素材が扱えること(下位モデルだと扱えない)

梱包や工具類が素晴らしい

所感ですが、かなり厳重に梱包されていることに好感を持ちました。外装はもちろんですが、内部の可動部も必要に応じてネジ止めされていて、 さらにそのネジにはネジロック(ゆるみ防止剤)までつけられていました。

正直なところ中国系プロダクトでここまで細やかな配送手続きをされたことは過去に一度もありません。精密機器ですから、非常に好感が持てます。

なおAMS同梱モデルを購入したときは、筐体内にAMSも入れ込まれています。

あれAMSがなくない?って一瞬不安になりましたが、これは配送コスト低減の目的ですかね。 ゴミになる梱包材も無駄に出ますし、この辺りはよい対応かなと思います。

メンテナンスのための工具やグリスなども同梱されている点にも好感が持てます。

ここに同梱されている六角は先のネジ留めを外すためにも必要なものですから「それはそう」って話なんですが、一通りのメンテナンス用品も入れてくれているのはありがたいことです。

設置場所の注意

筐体のサイズだけではなく、その前後のクリアランスと、AMS(フィラメント・プリンタ用の素材を配給する装置)を設置するスペースを考える必要があります。これはH2Dに限った話ではないですね。

特に背面からフィラメントのゴミ(プープ/Poop=糞)と呼ばれるものが排出される類のプリンタは背面にゴミ受けを取り付ける必要があります。 これが標準でないのもいかがなものかと思うんですけどもね(ユーザに自由に設計させ都合が良いのを作らせることもできますが)。

単純に重いので高い位置に設置するのは大変というのと、耐久性のある棚かどうか、という問題もありそうです。 本体重量が31kg, AMSをつけると39kg, レーザー付けると40kgオーバーです。

やわな棚板が過重的に耐えられないケースはあり得ると思います。

また電源は標準では3つ又で、12A/125Vの仕様です。一般的な日本の過程では3つ又が刺さらないだろうし、12A/125Vのケーブルも持ち合わせがないでしょう。私は持ってましたけど。

あとは振動ですね、結構な振動があります。床に直置きの場合には階下への影響を考慮した方が良いです。防振ゴムの類は筐体についていますが十分ではないでしょう。

設置する高さも重要です。仕組み上、上部が開くようになっています。これはフィラメントを直接挿す必要性があったり、 詰まったとき、部品交換のときにメンテナンスするためだったり、色んな目的のために開くようになっていますが、 あんまり高い位置に設置すると上をのぞき込めなくなって操作性が悪いです。

もちろん前面の扉からアクセスすれば解決するところも多くあるのですが、メンテ性も加味して一考の余地ありかなと思います。

上面と言えば、排熱のために上面全部の通気口が解放されます。これに物や人やらが不意の拍子に接触しないようにする、というのも実は重要かもしれません。