Journey Instruments OF410 ファーストレビュー

ネックを分解できるギター、Journey Instruments OF410 を購入してみました。 ギターを長期出張に持ってけると良いなと思ってたんですよね。

同じく分解できるギターの上位的な存在にフォルヒのトラベルギターがあるんですが、 あちらは総単板で価格が20万円オーバーと「ちょっと試してみるか」には程遠く。

10万円以下で購入できるJourney Instrumentsは中々ありがたいと思って手を出してみました。 が、結果的にはちょっと手のかかる子ですね。

スーツケースに入る

専用のバックパック型のケースが付属しますが、私の場合にはスーツケースに入るかどうかがまず大事。

御覧の通り収まります。サウンドホール内に下着なりなんなり詰めて、 ボディ回りやネック周りに衣類を詰めればある程度耐衝撃性は担保できそうです。

もちろん専用ケースで運んでもいいとは思います。が、バッグ自体がちょっとカッコよくないのと、 出張は出張でいろいろ運ぶものがあり、結局バックパックを別途持ち運ばないといけないという。

造りはかなり粗め

絶賛する声が多数聞こえてきますが、価格なりの品質管理だとは思います。良個体が少なさそうな印象といいますか。

ボンドがそのまま残ってたり、研磨/掘削の精度はあまり高くないです。プロダクトとして最低限。 管理体制が良くなかったのか、日本のきちんとした楽器屋さんでの購入ですが錆びも見られます。

※ちなみにボディからは木工ボンドの匂いがします。

長期間置かれていたりすると錆びるみたいだし、先日手に取ったTaylorもそうだったので、 価格なりというか管理体制なりのところはあると思いますが、まぁ差し引いても全体的に造りは荒い印象はぬぐえず。

とは言え価格なりです(セール品だったので正規価格なら高く感じちゃうかな)。

特殊な形状

コンパクトさを保ちつつ音量も欲しいというモチベのためか、ボディが斜めに切られています。

私のモチベだといっそ薄くしてほしい、必要ならピックアップを使うから、って感じですが、設計意図は理解できます。

実際 (1)ネックが組み立て式 (2)合板 (3)小型、であることを考えれば、かなり鳴りが良い印象です。 これは小さいボディサイズを限界まで振動させるからだと思います。逆を言うと大きな音は絶対にならせないです。「小さい割に」良く鳴ります。考えらえています。

ただこれ後から気が付いたんですが、TaylorのGC(グランドコンサート)より分厚いですね。 ボディ全体が小さいのでその分だけ分厚く、というのは分からないではないんですが、せめてGCと同じくらいの厚さが良かったなぁというのが正直な所。

もちろんトライ&:エラーをしてサイズを決めてはいるのでしょうが、ちょっと中途半端感が否めず。

ペグがダイアル式になってるのちょっと面白いですね。ただ取説にもありましたがチューニングは狂いやすい印象です。 ショートスケールは狂いやすいと言いますし、着脱式のネックだとさもありなんって感じなので、これはプロダクトの特性で合って欠点ではないですね。 トレードオフです。

取り外し時に弦が絡まないようにするためなのか、謎のガイドがつけられています。 これは正直個人的には不要なのではと思っちゃうんですが、どうなんでしょうね。設計意図が上手く汲み取れませんでした。多分絡まり防止。

それよりもナットが特徴的で、かなり斜めにカットされています。一般に1弦側にかけて下がるにしてもちょっと露骨すぎるなぁと。 個体差なのか工作精度の話なのか果たして。

弦高設定も無茶苦茶で、12フレット6弦側は2.5mmとまぁ分かる範囲なのですが、1弦側が4mmありました。4mmて。 加えて耐久性のためか、標準弦がライトゲージっぽくて、弾きにくいっちゃあらしません。

これは悲しきかな楽器店の管理不足も含まれる気がします。いくらなんでもこんなに弾きにくいことあるかって感じ。 工作精度の話ももちろんあるとは思いますが、ちょっと失敗したなと思ったのでした。

この手の問題、ちょっとした業界の闇を感じます…初心者だったら泣いて止めちゃうな…。 売れたらいいってもんでもないとは思うんですけど、かといって安いギターを丁寧にメンテしても赤字ですからね…。

結局後日自分でサドルを交換しました。2.4mm/1.6mmくらいにとりあえずセット。

その他の情報

バックパックの出来はかなり良いです。見た目の好みの話はあると思いますが、クッションもよく効いて、小物を入れるスペースも沢山あり、機内持ち込みができる。 否定する材料はないに近しいです。

ピックアップは想像以上に良いです。価格を考えれば大当たりな気がします。

更に省スペースにしたい場合は、現状ではフォルヒ一択です。ネックをボディ内部にしまい込めるほか、ヘッドも取り外せるからです。 トレードオフとして、総単板になり、価格が倍以上です。ピックアップも付いてきません。

ただフォルヒですからね、クオリティは言うことなしだと信じたい。